今回登場するのは、経済コラムニスト・高井宏章さん(54)。1995年に名古屋大学法学部を卒業して日本経済新聞社に入社、編集委員やロンドン駐在を経て、2023年に同社を退職。在職中に娘のために書き始めた青春経済小説『おカネの教室』が累計10万部超のロングセラーとなり、現在は千葉商科大学付属高等学校の校長を務める。
経歴を見れば間違いなく“エリート”だが、育ったのは勉強とは無縁の環境。本人も高校受験直前まで「地元の工業高校に行って、卒業したら働く」人生を思い描いていたという。
名古屋の看板屋の三男坊
高井宏章さんは1972年、愛知県名古屋市に生まれた。父は中卒で修業に出た職人で、家業は看板屋。母は商業高校を卒業して家業を手伝っていた。子どものころ、その家業がいったん倒産し、家には多額の借金が残っていた。
兄が2人いる三男坊である。2人の兄は、いずれも地元の工業高校を出て、すでに就職していた。親族の中で「大学に行った人」は、正月にしか会わない“いとこ”たちだけ。日常的に出入りする大人のなかに、四年制大学を卒業した人間は一人もいなかった。
近所の景色も似たようなものだった。少年時代を過ごしたコミュニティでは、違法行為に手を染める中学生がいて、万引きを組織的にやる同級生がいて、椅子を振り上げてくる友達もいた。
「ちょっとここでは言えないくらい、ろくでもない連中とつるんでいた時期がありますね(笑)。」
その当時の写真がこれだ。

