架空送電工事は、高所作業員がチームで働くことが多い。「CCUSの就労履歴データと工事出来高のデータがあれば、チームごとの労働生産性を客観的に評価することは可能だ」と、谷氏は提言する。それによってスキルや能力に応じた賃金が支払われるようになれば、デジタル技術やAIなども活用して労働生産性向上に取り組むインセンティブが働くようになる。
問題は、労働生産性の向上を建設事業者の収益アップにどうつなげるかである。生産性が向上した分、受注量の増加につながり、建設技能者は効率的に働いて高い賃金が得られる。そのように建設プロジェクト全体を管理する、いわゆるコンストラクション・マネジメント(CM:施工管理)が重要になる。しかし、従来の工事発注は、発注者側の都合で行われてきたので、年度末に工事が集中したり、閑散期には技能者を遊ばせたりするなどの生産効率の面で問題が生じやすかった。建設業の労働生産性を向上するには、発注者側も請負業者の施工能力の状況を見ながら、計画的に工事発注する必要が高まっていくと考えられる。
セブン-イレブンの店舗を点検・修繕する企業
2000年に創業した小口修繕サービスのJM(大竹弘孝社長)は、発注者とともに建物を計画的に修繕するビジネスモデルを構築してきた。1990年代後半に新規事業の立ち上げに取り組んでいた大竹社長が相談した相手は、今年5月に亡くなったセブン&アイ・ホールディングス元会長の鈴木敏文氏だった。
大竹社長が建物を計画的に点検・修繕するサービスのアイデアを説明すると、鈴木氏が「セブン-イレブンの店舗でやってみたらどうか」と逆提案。それから事業体制を整え、二人三脚で全国のセブン-イレブンの店舗に維持管理サービスを提供してきた。その後、日産自動車や外資系自動車のディーラー、マクドナルドやスターバックス、ユニクロなどの店舗、さらに地方自治体の公共施設でもJMのサービスを利用するようになった。

