JMでは、発注者を「顧客」、建設技能者を「サービスマン」と呼んでいる。彼らは点検や修繕のデータを、スマートフォンなどを使って記録。そのデータは「顧客」にも提供しており、データから故障などが生じやすい設備や建築部材が判明すれば、より適切なものへの交換を提案してトータルで維持管理費の削減につなげている。
「顧客」の困りごとを解決することで、継続的な仕事の獲得につながっているわけだ。「サービスマン」にとっても、JMから安定的に仕事を請けられるので、収入が安定するとともに、自分の能力を活かした働き方もできる。優秀な「サービスマン」の中には、他より多くの仕事を集中的に請けてガッチリ稼いだあと、長期休暇をとって家族と海外旅行に出かけた強者もいるという。
建設業界で、JMのように仕事の発注量と受注量を調整しながら効率的に事業を展開する仕組みを構築している企業は稀有だ。しかし、今後、人手不足が深刻化するなかで、需要と供給のバランスを取りながら、必要な建設投資を持続的に実施していくためには、時代の変化に対応した新しい受発注システムが必要だろう。
発注者と対等な立場でプロジェクト管理する調整役が必要
先に紹介した架空送電線工事会社の中部電気工業は、今年3月に大和ハウス工業が完全子会社化した住友電設(今年10月にセムリンクスに社名変更予定)に株式譲渡して、6月にグループ入りした。谷氏も社長を退き、取締役に就任。住友電設では、大和ハウス工業が力を入れるデータセンターと電力施設を繋ぐ架空送電線の施工能力の強化に取り組む。
全国を10エリアに分けた一般送配電事業者は、東京電力パワーグリッドなど10社ある。人手不足の深刻化が進むなかで、必要な工事を着実に実施していくためには、発注者と対等な立場で効率的にプロジェクトを管理できる調整役が必要となる。住宅から物流やデータセンターなどの施設、まちづくりまで幅広い事業を展開する大和ハウス工業には、その役割を期待できるだろう。日本の経済成長には欠かせないエネルギーインフラを維持していくためにも、さらなる生産性向上が求められている。

