過去数年、世界が懸念してきた台湾有事。6月に入り、そのリスクが深刻化している。台湾島の地形上、上陸作戦には中国大陸と反対側にある東部の砂浜も使われるだろうと指摘されてきたが、中国がこれに近接する台湾の東側(以東)海域で次々に現状打破に挑み始めたのだ。
まず6月1日に中国海警船が、これまで軍事演習以外で行かなかった以東海域に現れ、「法執行パトロール」を実施。次に6〜10日、交通運輸部が巡視船や測量船など4隻に、台湾島を反時計回りで周回させた。船隊は以東海域の海底地図を作成し、海底ケーブルなどの「巡視」も行った。さらに16〜18日には、自然資源部の科学調査船、「向陽紅22」などが海警船に伴われて同海域の「海洋環境調査」に従事した。
台湾東部への中国進出に口実を与えた日本
このうち、交通運輸部の関与は重大だ。同部は主に海上交通安全法に依拠し行動する。同19条は航行禁止区域の設定などを定める。つまり同部の船を動かすことで、中国は国内法上、合法的に海上封鎖や海底ケーブル切断を行う可能性があると示唆した。中国の認知戦の先鋒を担う中国中央テレビのSNSアカウント「玉淵譚天」は、台湾を取り巻く法執行が、中国の「近海ガバナンスモデル」を形成したと主張。中国は今後、以東海域での活動を恒常化する構えだ。
腹立たしくも、中国に今回の口実を与えたのは日比両国だった。マルコス大統領の来日を受け、両国は5月28日に東京で共同声明を発表。そこでなぜか、海洋境界の画定に向けた正式交渉の開始を公表。中国はこれに反発した。
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