「1人の作家の個性で出せちゃう本はすごい。それをわれわれは年間6000点も出しているのだから、僕がソニーの経営者だったら(KADOKAWAを)買いに行く」
2024年末、エンタメ業界をざわつかせたソニーグループとKADOKAWAの資本業務提携。翌年3月に実施した東洋経済のインタビューで、KADOKAWAの夏野剛社長CEOは冒頭のように語り、IP(知的財産)を大量創出する自社の経営への自信をのぞかせていた。それから1年余り、会社や夏野氏を取り巻く状況は、大きくぐらついている。
6月24日午後2時から、東京都内でKADOKAWAの定時株主総会が開催される。そこで、夏野氏の取締役解任を求める株主提案が諮られる。
夏野氏の解任を要求しているのは、13.76%の株式を保有するアクティビスト(物言う株主)、オアシス・マネジメント(以下、オアシス)だ。オアシスが同社株を買い始めたのは20年。今年3月に提出した大量保有報告書で8%超の株式保有が判明して以降、短期間で買い増しを進め、資本業務提携によって約10%の株式を取得したソニーグループを抜き、筆頭株主に躍り出た。
「シンプルにリーダーとして不適格」
オアシスは夏野氏の解任を要求する理由として、社長就任以降の5年間で営業利益やROE(自己資本利益率)が低下した点のほか、ゲーム子会社であるフロム・ソフトウェア(以下、フロム)における戦略の不透明性、出版ビジネスの収益性低下を指摘する。
夏野氏はNTTドコモなどを経てドワンゴで取締役を務め、14年の旧KADOKAWAとドワンゴの経営統合に伴い、KADOKAWAの取締役に就任。21年に代表取締役社長に抜擢され、23年からは取締役代表執行役社長CEOを務めてきた。
オアシスは6年前からKADOKAWAとの面談などを行ってきたという。セス・フィッシャー最高投資責任者は「非常に長い時間を彼らには与えた。夏野氏の下で業績が一貫して悪化してきたことを考えると、シンプルに彼はリーダーとして適任ではない」と話す。
3期連続で営業減益となったKADOKAWA。夏野社長の辞任を求めるオアシスの株主提案は一定の賛同を得る可能性がある。KADOKAWAが直面している課題についての東洋経済オンライン(有料版)の詳報は【〈揺れるIPの巨人〉KADOKAWA、物言う株主が「夏野社長解任」を突きつけた背景…"ヒット減少"で露呈した構造的課題】をご覧ください。

