まず、日本の学校教育には、「2つの最重要課題」があります。「学習指導要領改訂を含め、あらゆる教育改革は、この解決を目指している」と考えてください。それは、
① 動機付け(学びに向かわない)
② 転移(学んだことを使えるようにならない)
の2つです。(多様な背景があることを前提として)不登校の児童生徒数は、中学校で15人に1人、小学校で44人に1人という状況ですが(2024年)、10年前の2014年には、中学校で36人に1人、小学校で255人に1人という状況でした。つまり、この10年間で、中学校は約2.5倍、小学校にいたっては約6倍に不登校の子が急増しています。また、もう1つの最重要課題である「転移」については、以下をご覧ください。
◎平成19年度「全国学力・学習状況調査」
これ、左側の問題と、右側の問題の小学校6年生の正答率は、それぞれどれぐらいだと思いますか? 正解は、左側が96%、右側が18%です。これほどまでに応用が利かない。授業が単なる知識の暗記になってしまっているのではないか。このような危機感があるわけです。以下の図を見てください。
◎学力のレベルと学習指導要領(現行)
まず、一番左側。学力には、大きく分けると3つのレベルがあると言われますが、日本の学校教育は、このうちの「知っている」レベルにとどまってしまっているのではないか。
こうした問題意識により、前回の学習指導要領改訂、つまり現行の学習指導要領では、「見方・考え方」というものを示して、学力のレベルを引き上げていくことを目指しました。このことをもう少しわかりやすく説明すると、以下のようになります。
◎サッカーと勉強の対比
日本の学校教育は、サッカーで言う「ドリブル練習」や「パス練習」にばかり注力しすぎてきたのではないか。当然のことながら、サッカー練習の最終目標は、実際の試合で活躍できる力を育むことです。しかし、練習でどんなにドリブルやパスが上手にできたとしても、試合で活躍できるとは限りません。
ですから、教育を、もっと実際に知識や技能を活用する文脈に近付けていこう、つまり、社会生活や職業生活という「試合」で活躍できる力を育んでいこう。これが、前回改訂の目玉だった「資質・能力ベース(コンピテンシーベース)」の考え方です。
学習指導要領が十分に機能していない2つの問題
ですが、残念ながら現状、学習指導要領が十分機能しているとは言えず、「2つの最重要課題」も依然として解決には至っていません。その背後には、2つの問題があると考えています。

