若手社員のデスクに、明らかにオフィスにはそぐわないぬいぐるみが鎮座している。社外の人も出入りするので、「これはさすがに言わないと……」と課長は意を決して声をかける。
「これ、少し場所を……」と言いかけた瞬間、若手が不安そうに振り返る。
「すみません……やっぱりダメですよね……これがないと落ち着かなくて……」
その一言で課長の心は折れ、「いや、いいんだ。むしろ……その……癒されるし……」となぜかフォローに回ってしまう。注意しに行ったはずが、承認しているという謎の結末を迎える。
オフィスにある社員のデスクに、キャラクターのフィギュアや推しアイドルのアクリルスタンド、旅先で購入した派手なマグカップなどが置かれている光景を目にすることが増えています。働き方が多様化し、職場に「自分らしさ」を持ち込むことが肯定されるようになった結果だといえます。
一方で、「業務に関係のないものを置くのは不真面目だ」「職場の品位が下がる」と感じる人もいます。特に管理職層やベテラン社員ほど、デスクは「仕事の場」としての厳格さを重視する傾向が強いようです。
同じ会社の中で、なぜここまで認識の差が生まれるのでしょうか。そして企業はどこまで許容すべきなのでしょうか。
心理学が示す「私物があると働きやすくなる」理由
まず押さえておきたいのは、デスクに私物を置く行為が、単なる趣味の表現ではなく、心理学的にも働きやすさに寄与する可能性が高いという点です。
心理学者ロジャーズらの研究で知られるこの効果では、自分に関係する対象が視界に入ると、脳が優先的に処理し、注意力や気分が回復しやすくなるとされています。

