推しグッズや好きなキャラクターは、本人にとって「自己関連性の高い刺激」です。そのため、ふと視界に入るだけで「よし、もうひと頑張りしよう」という気持ちを引き出すことがあります。
ドイツの組織心理学者サビーネ・ゾンネンタクらの研究では、数秒〜数十秒の心理的な小休止が集中力の回復に効果的であることが示されています。
推しグッズは、まさにこのミニ休憩を自然に生み出す存在です。仕事の合間にふと視界に入り、脳の疲労をリセットします。これは、集中力を維持するうえで合理的な働き方といえます。
環境心理学者ジェームズ・ギブソンが提唱した理論で、環境が人の行動や感情に影響を与えるという考え方です。
無機質なデスクより、自分にとって意味のある物がある環境のほうが、安心感や自己効力感が高まりやすいとされています。
推しグッズやお気に入りのマグカップは、社員にとって自分らしさを象徴する環境要素であり、心理的安全性を支える役割を果たします。
これらの研究を踏まえると、デスクに私物を置く行為は、単なる趣味の表現ではなく、働くうえでの心理的な支えになっている可能性が高いといえます。
世代間で「私物」の捉え方に差が
では、なぜ一部の社員は私物に否定的なのでしょうか。
背景には、世代による職場観の違いが挙げられます。
2000年代前半までに社会人になった層は、「職場は公的な場」「私生活は持ち込まない」という価値観が強く、デスクまわりに、個人の色を出すことは控えるべきだという意識が根強くあります。
一方、Z世代を中心とした若手は、「職場は自分の能力を発揮する場」であり、心理的安全性や快適さを重視します。そのため、推しグッズや趣味のアイテムを置くことを「仕事の効率を上げるための工夫」と捉える傾向があります。

