展示では、アロハシャツの成り立ちに、ハワイに渡った日本人の移民や着物地が深く関わっていたことが紹介されていた。
「日本から来た移民の人たちが、とても貧しい生活の中、持ち込んだ着物をシャツに仕立てたことなどが紹介されていました。展示されていたシャツは、本当に日本の伝統的な着物の柄だった。それがすごく素敵で、もしかしたら、アロハシャツを着物に応用する、という、逆パターンもできるんじゃないかと思ったんです」
ハワイアンの柄を日本の友禅に施すというアイデアがこの展示を見てひらめいた。
そこで早速、ハイビスカスなど、ハワイの柄を取り入れた訪問着の制作に取り掛かった。ありえないような柄の融合ができたのは、彼女が身につけた技法が手描き友禅だったからというのも大きく影響している。
手描き友禅は文字通り、糊を手描きで布に描き、筆で色付けして染めていくため、型染めと違い、絵画のように自由に柄を描くことができる。
作品が認められた
ところが、制作を進めていると、一部の先生からは厳しい言葉が飛んできた。
「『これはちょっとどうなんだ?』と眉をひそめる先生もいました」
しかしそんな中、後進の育成にも力を入れていた手描き友禅作家の香取正次郎さんが「面白いんじゃない」と背中を押してくれた。この一言に救われ、ハワイアン柄をテーマに作品を作り続けることにした。この作品を作品展に出したところ、東京友禅学院賞を受賞。ハワイアン友禅が友禅として認められた瞬間だった。

