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「買ってはいけない」と言われるのに…タコ足分配を高齢者が「知りながら買う」現役世代にはわからない"切実な理由"

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「買ってはいけない」といわれる毎月分配型投信をシニアが支持し続ける理由とは(写真:Luce/PIXTA)
  • 松田 聡子 ファイナンシャルプランナー/群馬FP事務所代表
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コスト面でも不利です。毎月分配型の信託報酬は年率1〜2%程度がボリュームゾーンです。一方、ネット証券の定期売却サービスを使えば、信託報酬が年率1%未満の低コストのインデックスファンドを自動で毎月一定額売却できます。しかも、NISA口座なら売却益も非課税です。純粋な運用効率だけを見れば、定期売却サービスのほうが合理的という結論になります。

タコ足分配のリスクを知りながらシニアが毎月分配型を買う理由

毎月分配型投信が爆発的に普及したのは10年代で、主な購入者は高齢者でした。

当時の筆者の相談者の中に、投資元本約5000万円で毎月40万〜50万円の分配金を受け取っていた高齢女性がいました。自宅には寝たきりのご主人がいて、介護保険の支給限度額を超えた民間介護サービスを自費で利用していました。彼女は分配金を介護費用に充てていたのです。しかし、徐々に運用成績が下がって分配金が減り、タコ足分配も多くなりました。

そのとき筆者は、毎月分配型投信をインデックスファンドなどに買い替えて、自動売却を利用したほうがいいとアドバイスしました。けれども、頭では理解できても、一度毎月分配型の「うま味」を知ってしまうと、なかなか乗り換えられないようでした。

なぜ高齢者はタコ足分配のリスクがあっても毎月分配型を選ぶのでしょうか。

理由の第1は、時間軸の違いです。残りの人生を見据えれば、20年後の資産最大化よりも今月のキャッシュフローのほうが切実です。「増やす」フェーズを終えた人にとって運用効率はそれほど重要ではないのです。

第2は、ITリテラシーの壁です。「インデックスファンドを保有し、定期売却サービスを利用する」というのは簡単なようで、ITリテラシーが衰えゆくシニア層にとって難題です。サービスを利用するためには、高齢者自身が複雑な取り崩し条件(定額にするか定率にするかなど)を自分で計算・設定しなければなりません。購入するだけで自動的に分配金が口座に振り込まれる毎月分配型投信の便利さは、インデックスファンドにはない魅力です。

第3は、インカムゲイン(配当・利息)への根強い信頼感です。「元本には手をつけず、果実だけを受け取る」という感覚は、(実際はそうでないとしても)特に資産を守ることを優先するシニア層に深く根付いています。

毎月分配型はシニア層にとって、「高い信託報酬を払って、元本の取り崩しを任せられるサービス」として機能しているともいえます。資産形成層にとっては非効率な仕組みが、資産を使い切るフェーズの高齢者にとっては一定の合理性を持つのです。

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