もちろん、すべてが常に安いわけではありません。生鮮ゆえに、余剰や相場崩れで安くなっているものが混じっているので、それを狙い撃つのです。
「卸値のお店」ならいつでも高品質低価格だし、手が出ない価格帯の商店にも「おつとめ品」や「規格外に近いサイズ」が隠れていることもあります。それらを掘り起こすことが、筆者にとっては、何よりの醍醐味です。
「高い」も「安い」もどっちもあるのが、築地市場の魅力
築地は観光地になってからも、昔ながらの市場の顔も共存しています。つまりは、「高いか安いか」で単純に語れる場所ではなく、どこを見るか、どの店に入るかで表情が変わるのです。少なくともわが家にとっては、築地は「高くて近寄りがたい場所」ではなく、「うまく付き合えばおいしく節約できる場所」になりました。
「節約」といえば、スーパーの特売品や、ネットショップのポイント還元を思い浮かべるかもしれません。どちらも攻略は楽しいのですが、旬の食材があふれ、活気が渦巻く築地市場では、節約が家計の防衛術を超えたエンターテインメントに昇華します。自分の目で見て、店主とやり取りをして選ぶ体験は、日々の食卓をより愛おしいものに変えてくれます。「築地は観光地だから」と敬遠していては、この市場の懐の深さに気づくことはできません。
ただし築地市場を歩くには、ある程度の覚悟が必要です。波除通りをまっすぐ300m進むだけでも、一苦労です。人の流れに身を任せるように、牛歩で移動するしかありません。目的の店にたどり着くまでに、小一時間かかることもあります。
それでも、歩くたびに新しい発見があり、築地はやはり面白い場所です。


