——精緻化を子どもに習慣づけるには、どうしたらよいでしょうか。
岡崎 いきなり「自分で疑問を立てなさい」と言っても、慣れていない子は止まってしまいます。ですので、最初は 大人が“なぜ?”の手本を見せる ところからはじめるのがおすすめです。
「先生はね、これを読んでこういう疑問が浮かんだんだけど、みんなはどう思う?」と。
——大人がモデルを示すんですね。
岡崎 はい。慣れてきたら、ノートの端に「?マークを3つ書いてから授業を受けよう」というような小さなルールを作るのも有効です。授業や教科書で出てきた言葉に、ひとつでも自分の問いをぶつけられたら、それはもう立派な精緻化です。
——子どもが家庭で取り組む場合は、保護者は何をすればいいですか?
岡崎 答えを教えることよりも、「いい疑問だね」と問いを褒めることですね。
テストの点数だけを見て一喜一憂するのではなく、「今日はどんな"なぜ"を見つけた?」と聞ける家庭は、それだけで強いです。
——なるほど、「答え」より「問い」を評価する。
岡崎 これは大人の仕事にも通じる話だと思っています。
最近よく聞く「インターリーブ学習」の本質
——もう一つお伺いしたいのが、最近書籍やSNSでもよく目にする 「インターリーブ学習」 です。「複数の科目を交互に学ぶと記憶に残りやすい」という話ですが、これも誤解が多いように感じます。
岡崎 大事なポイントが一つあって、それは「関係している情報を混ぜて学ぶ」ということなんです。訳書でも繰り返し強調されているのですが、ここが意外と抜け落ちて広まってしまっている。
——「とにかく色々な科目を混ぜればいい」ではないんですね。
岡崎 はい。たとえば、日本史と世界史は時代背景や因果関係が密接に絡んでいますから、関係している部分を行き来しながら交互に学ぶことで、「同じ年代に世界の別の場所で何が起きていたのか」が立体的に見えてきます。これはインターリーブが特に効きやすい組み合わせです。
——あ、それでいうと、私がライティングをお手伝いした宇野仙先生の『日本史と地理は同時に学べ!』という本は、まさにその発想で書かれた一冊でした。
岡崎 とても良い実例ですよね。一方で、国語と数学のように、扱う対象も思考の型も大きく異なる科目を、ただ交互に解いていっても、相乗効果はあまり生まれません。それは「インターリーブ」というより、単なるスケジューリングの問題なんです。

