——なるほど、「混ぜる」ではなく「比較できる組み合わせを意図的に並べる」ということですね。
岡崎 私がよくお話しするたとえに、ピアノの練習があります。似た構造を持つ曲Aと曲Bを交互に練習すると、「ここは曲Aと同じ運指だな」「このフレーズは曲Bの方が難しいな」と、違いと共通点が自然に意識されます。これがインターリーブの本質です。
——スキル同士を比較するから、輪郭がはっきりするんですね。
岡崎 その通りです。教科学習でいえば、「分数の掛け算」と「分数の割り算」を交互に解く、「現在完了形」と「過去完了形」の英作文を混ぜる ——こうした「似ているからこそ間違えやすいもの」を意図的に並べると、子どもは違いを意識せざるを得なくなります。これが理解の精度を上げる仕組みです。
——となると、「混ぜれば伸びる」ではなく「比較させたいものを、意図的に配置する」というのが現場の先生方への実践的なメッセージになりそうです。
岡崎 はい。インターリーブは「学習スケジュールの工夫」というより、「教材設計の工夫」 に近い概念だと考えていただいた方が、本来の効果を引き出せると思います。
子どもが“腹落ちする”学習体験を大人がデザインする
「精緻化」と「インターリーブ」。どちらも、言葉だけが流通している間は、ただのバズワードに過ぎません。しかし、岡崎先生にお話を伺って改めて感じたのは、この2つはどちらも"問いの立て方"の話だということでした。
「なぜ?」と自分に問いかけることで、知識同士が繋がる。「これとあれは何が違う?」と並べることで、似たものの輪郭がはっきりする。注意ポイントも共通していて、どちらも大人の支援が必要です。子どもの頭の中で起こる「比較」と「接続」は、最初はわたしたち大人が支援しなければなりません。「比較」と「接続」がおきるように、意図的に教材をデザインしてあげるとよさそうです。
科学的に正しい勉強法は、決して魔法のような特効薬ではありません。科学的に正しいかどうかよりも、このような地味で本質的な問いかけを、毎日コツコツと積み重ねることができるように、大人が支援することが大切なのだと、改めて教えていただいた取材でした。


