岡崎先生が監訳された『認知心理学者が教える最適の学習法 ビジュアルガイドブック』(東京書籍)は、文部科学省が示した次期学習指導要領の検討資料でも参照されています。
本稿では、たくさんある学習方略の中から、現場で誤解されがちな「精緻化」と「インターリーブ」の2つに絞って、その本当の使い方をご紹介します。
学習において重要なキーとなる「精緻化」
——岡崎先生の翻訳書を拝読して、まず驚いたのが「精緻化(せいちか)」という言葉でした。なんとなく聞いたことはあっても、何をどうすれば精緻化なのか、現場では意外と曖昧なまま使われている気がしています。
岡崎 そうですね。シンプルにいうと、精緻化とは「なぜ?」「どうして?」という疑問を自分で立てて、知識を掘り下げていく作業 のことです。一問一答で覚えるだけの暗記とは、対極にあるイメージです。
——具体的な例で伺いたいです。
岡崎 分かりやすい例として日本史で考えてみましょう。たとえば、「六波羅探題」です。多くの授業や参考書では、「鎌倉幕府が朝廷を監視するために京都に設置した機関」と書いて、そこで説明が止まってしまうんです。
——たしかに、私もそうやって覚えました。
岡崎 でも、ここで一度立ち止まって、子どもに問いかけてほしいんです。「なぜ六波羅探題を作る必要があったの?」「なぜ朝廷を監視したかったの?」「なぜ幕府と朝廷は対立していたの?」——そうやって“なぜ”を一段ずつ降りていくと、承久の乱という具体的な事件にたどり着き、当時の朝廷と幕府の力関係や、武家政権の不安定さまで見えてきます。
——一問一答だった知識が、急に立体的になりますね。
岡崎 これは「浅い学習」から「深い学習」につながります。覚えるべき用語は同じ「六波羅探題」一つなのに、頭の中での収まり方が全く違ってくる。精緻化とは、知識と知識をつないでネットワークを作っていく方法だとイメージしていただくと、現場でも使いやすいと思います。

