これは、ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の共同調査(小4~高3、約8600人対象)でも裏付けられています。前年より成績が伸びた子は、勉強法を工夫している傾向が強い一方、勉強時間の長さと成績の相関は弱かった——という結果が出ているのです(毎日新聞 2023年4月12日)。
つまり、勉強時間を伸ばすこと自体には、あまり意味がない可能性があるのです。
「もっと勉強しなさい」は意味がない?
ここで、最初の話に戻ります。なぜ東大生の親は、「勉強しなさい」と言わないのか。世間では「自主性を尊重しているからだ」と説明されますが、僕は最近、別の側面があるのではないかと考えています。
それは「勉強しなさい」という言葉が、結局は"勉強時間を長くしろ"というコミュニケーションでしかない、ということです。
考えてみてください。親御さんが「勉強しなさい」と言うとき、その意図はほぼ100%、「机に向かう時間を増やしてほしい」という意味です。
「もうちょっと長く座っていなさい」
「ゲームやめて、もう少し勉強しなさい」
「土日は5時間は勉強しなさい」
というのは、全部「時間」の話なのです。しかし、先ほどデータで見たように、時間の長さと成績はそれほど強く相関しません。だから、「勉強しなさい」と言って時間を伸ばさせたところで、成績は思ったほど上がらない。
つまり、「勉強しなさい」という声かけは、そもそも費用対効果が極めて悪いコミュニケーションなのです。東大生の親御さんがこの言葉を口にしないのは、もしかすると意識的・無意識的に、「時間を伸ばさせるコミュニケーションには意味がない」と気づいているからではないか。僕は最近、そう考えるようになりました。
では、親御さんは何を聞けばいいのでしょうか。
僕が提案したいのは、たった一言、「今日の勉強、自分で何点くらいだった?」です。

