現在佛子園では、IRいしかわ鉄道の松任駅から動橋(いぶりはし)駅までの10駅のうち、9駅で清掃などの業務を受託している。かつては車で移動して清掃を行っていたが、2024年からはIRいしかわ鉄道から乗車証が発行され、スタッフは電車で移動しながら各駅を回れるようになった。これも、丁寧な仕事で成果を上げていることが評価されたからにほかならない。
赤いユニホームで各駅を回って清掃活動をするスタッフは、鉄道のアイコンの一つにもなっているようだ。彼らは単なる作業員ではない。駅という公共空間を「地域みんなの居場所」として守り、活性化させる、鉄道にとっても地域にとっても不可欠なパートナーとなっているのだ。
美川駅の人流に見る、駅が変わる効能
「美川駅を訪れる目的が鉄道だけでなく、カフェやイベントなども加わったことで、駅に来る人が2012年の約2万5000人から、2019年には約4万5000人と2倍近くになりました。鉄道利用者も、美川駅からの乗車人数が2012年には月約800人だったのが、2019年には約900人に上昇しました。これは予想を超える成果でした」
駅というインフラにそれまでにない価値が加えられたことで、新しい目的が生まれ、人が流れ出したということだ。
これを仕掛けた佛子園は、社会福祉法人としての自らを「地域の社会課題産業」と位置づけているという。
「深刻な人手不足という社会課題がある一方で、働く場を求める障がい者や高齢者がいます。両者を結びつけることで、単なる支援ではなく、課題解決のサイクルを生み出し、消費を生み出すという考え方です」
これは、単純なマッチングで実現するものではない。働く人の障がいの程度や個性を丁寧に見極め、それに見合った職種を選定し、適切な教育やアドバイスを継続する。そこには、佛子園が長年培ってきたノウハウの蓄積が生きているのだろう。

