5月14日、テレビのAIをめぐって2つの賭けが同時に始まった。シャープは新型テレビ「AQUOS」の発表会で、画面に映る等身大のAIキャラクターと会話できるサービス「AQUOS AI」を打ち出した。
同じ日、中国TCLの日本法人は2026年モデルの発表会で、Googleの生成AI「Gemini」を組み込んだ「Google TV with Gemini」の国内先行搭載を表明した。片や情緒的な会話に課金するサービス、片や実用的なAIアシスタントの無料搭載。同じ「テレビ×AI」でも、方向は正反対だ。
「放送の進化がない」テレビメーカーの危機感
シャープがテレビに会話AIを載せる理由は、発表会後の質疑応答で同社の木村健一TVシステム事業本部Entertainment事業部長が語っている。「放送関係の進化がないなか、テレビのあり方をゲームチェンジしていく必要がある。ネットワークサービス、VODやゲームが増えて、入力ソースのあり方が変わってきている」。テレビが放送を映す箱でなくなりつつある中で、新しい存在意義を探る。その答えがAIキャラクターとの会話だった。
テレビAQUOSは2001年の誕生から25周年を迎え、国内累計出荷は5600万台に達した。シャープによれば国内の薄型テレビの3台に1台がAQUOSだ。その四半世紀の節目に同社が打ち出したスローガンが「AIでテレビがもっと楽しく、美しく」だった。画質や音質の進化に加えて、テレビとの新しい付き合い方をAIで作る宣言といえる。
AQUOS AIには3つの機能がある。会話を楽しむ「トーク」、コンテンツを提案する「番組おすすめ」、操作方法を案内する「使い方ヘルプ」だ。AIキャラクターは「大輝」「あゆみ」のどちらかを選び、65V型テレビなら等身大に近い大きさで画面に現れる。
「今日学生時代の友人にたまたま会った」と話しかけると「偶然会えたんだね。どんなことを話したの?」と返し、「気分がスカッとする番組ある?」と聞けば好みを問い返したうえで放送やネット動画から番組を提示する。シャープが示した会話例だ。

