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テレビAIの岐路、シャープは「話し相手」、TCLは「Gemini」でテレビの未来を変えようとしている

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AQUOS AIを起動した新型AQUOS
AQUOS AIを起動した新型AQUOS。65V型では等身大に近いサイズでキャラクターが表示される(写真:筆者撮影)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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この差は、AIの応答能力の差でもある。シャープのAQUOS AIはOpenAIのGPTをベースに独自チューニングしたもので、学習済みの知識をもとに会話する設計だ。質疑応答で同社は、健康相談や法律相談など専門的な領域について「一般的な質問はできるが、専門的な知識は必ずしも正解を答えるものではない」と認めた。リアルタイム情報も明日の天気など一部に限られ、インターネット検索を組み合わせた応答はできない。「今日のニュースを教えて」と頼めるTCLのGeminiとは、できることの幅で差がつく。

AQUOSに日本の総理大臣を尋ねると、学習済みの知識をもとに答えた(写真:筆者撮影)

情緒への課金は成立するのか

シャープも、検索能力で勝負していないことは自覚している。質疑応答では「基本的には生成AIを効率化のサービスとして使う。テレビをキャラクターとして出すのは、情緒的な使い方をテレビ流の生成AIの使い方として提案するもの」と説明した。便利さではなく、家族の話し相手としての存在感に価値を置く戦略だ。

ただ、その賭けが成立するには条件がある。まず、情緒的な会話の相手として人型キャラクターの「大輝」「あゆみ」が愛されるかどうか。ポケともにはミーアキャットの愛らしい造形と、なでられるぬいぐるみの身体があった。テレビ画面の中の人型キャラクターは性格や口調のカスタマイズもできず、ぬいぐるみ的な愛着の対象になるかは未知数だ。

発表会でのAQUOS AIの紹介。手を振って話しかけてくるキャラクターが目を引いた(写真:筆者撮影)

もうひとつは、スマホとの違いを示せるかどうか。ChatGPTやGeminiをスマホで使い慣れた人にとって、検索もできないテレビのAIと話す動機は強くない。シャープは「家族みんなで使う」設計を差別化の軸に置くが、家族の誰が話しているかは識別しない。個人にパーソナライズされたスマホのAIと比べたとき、家族共用ゆえの中途半端さが出る恐れもある。

しかも、新型AQUOS自体もGoogle TV搭載機だ。GoogleがGeminiの提供範囲を広げれば、同じテレビの中にAQUOS AIとGeminiが同居する日が来てもおかしくない。そのとき、標準搭載の実用AIの隣で、月額課金のキャラクターAIに何を語らせるのか。シャープの賭けは、自社のテレビの中でも問われることになる。

シャープは高価格帯のハードに月額課金のAIを重ねる道を選び、TCLは買いやすいハードにAIを標準機能として組み込む。5月14日に同時に始まった2つの戦略は、AIの中身だけでなく、テレビというハードの売り方まで対照的だった。

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