そしてそうした経験を「受験に持ち込める」ようになったのです。4科目だけが受験科目ではなくなりました。英語が好きな子にとっては、大きな追い風でしょう。
親も子も「全部無理やりやらなくていい」ネオ中受
適性検査型入試も広がっています。
例えば、かえつ有明中学校(東京・共学)では、“個人探究「テオリア」”と呼ばれる、自分なりの理論を構築する力を問う試験や、グループワークを通して考える力をみる“グループ探究「ポリフォニー」”を実施。公立中高一貫校対策で培った資料読解力や記述力に加え、自分の考えを深め、表現する力を生かせる入試として注目されています。
宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校(東京・共学)でも、作文などを含む適性検査型入試をはじめとした多様な入試形態を導入しています。
教育取材を続けるなかで、「中学受験で親子関係が壊れそうになった」という声を数多く聞いてきました。
本来は子どもの成長を願って始めたはずの受験が、家庭内の最大の火種になってしまうことがあります。もちろん、難関校を目指して4科受験に全力投球する道も素晴らしい挑戦。そのスタイルが合う子もたくさんいますし、4科目全力で頑張って、それでも中学受験では第1志望に入れなかったとしても、まんべんなく仕上げた経験はそのまま中学・高校の勉強、ひいては大学受験にも役に立ちます。
ただ、それだけが正解ではない時代が来ました。この変化の潮流をうまく使うことができたなら、より多くの家庭に選択肢をもたらすと考えます。
国算に絞る、英語を武器にする、探究や表現力を生かす、公立対策を活用する――子どもの個性に合わせて、「頑張るポイント」が選べるようになったのです。それが昨今、話題となっている「ゆる受験」の正体ではないでしょうか。
もしかすると、「ゆる受験」という言葉にどこかうしろめたさのようなものを感じる方がいるかもしれません。中学受験に挑むからにはもっと頑張るべきなのでは? 理社もやらないと不利なのでは? 親がもっと伴走しなければいけないのでは……?
けれど、せっかくこのように多様な選択肢がある時代に、先入観にとらわれるのはもったいない。本当に大切なのは、「誰かの正解」をなぞることではなく、「わが子に合った正解」を探すことです。
受験は、子どもの人生の通過点。学校側が多様な力を求め始めた今、家庭もまた多様な受験の形を選ぶことができます。偏差値競争だけの時代から、「強み発見競争」の時代へ、中学受験は今、静かに姿を変えています。
わが子の「好き」や「得意」を信じて、一緒に戦略を考える。それこそが、保護者に求められる、新しい中学受験の伴走の形なのだと思います。




