となると、上場後数日、または一定期間は買いが殺到するようにも思われるが、そう簡単でもない。AI株も半導体株もバブルであることはコンセンサスであり、ポジショントークは盛んであるが、価格水準の調整が必須だとは、ほぼ全員心の中では思っている。
それよりもはっきりしているのは、スペースXについて、多くの人々が、無価値な株式だと思っていることだ。AIバブルが続いたとしても、公開価格の半値がせいぜいで、バブルが崩壊すればほぼゼロになる可能性がある。AI企業としては、無価値だし、ハイパースケーラー(大規模クラウドサービスを構築・運用する超巨大企業)的に、計算能力、電力供給能力に関して売り上げが多少立つ程度であり、AI企業としては、負け組どころか、実態的には参戦もしていないに等しい。だから、スペースXはいったん下がり始めれば、全員が「売り」だ。ただ、上場直後は、ほぼ誰も空売りできないだけのことだ。
上場直後は買いが殺到するかもしれないが、暴落は免れない?
この結果、上場直後は買いが殺到するかもしれないが、それが尽きた瞬間から暴落が始まり、それは乱高下しながら下落トレンドが加速していくだろう。持続性は、事前に売り出された株のうち、まずは3割が個人に割り当てられるとされているので、これで買えなかった個人が、上場後、市場で買おうと殺到し、この買いがどこまで続くかにかかっている。
もし、暴騰となれば、その局面で、ファンドなど残りの7割を割り当てられた投資家たちが売っていくから、個人の買い意欲が止まったら、買い手はゼロになる。インデックスに組み入れられる分の買いがあるといえばあるが、インデックスに組み入れられるまで、個人の買い意欲が続くかどうかが焦点だ。続かなければ、そこで終わり。暴落が始まる。続けば、インデックス関連買い、あるいはそのネタをはやす買いが入り、その流れで、個人の買いが再度加速する。しかし、この加速が止まったところで、終わり。暴落が始まる。
一方、関係者の売りは、上場初日から一定程度可能で、いわゆるロックアップ(既存株主の株式売却制限、通常は半年程度)の一部解除も四半期決算発表の2営業日後、つまり今から約2カ月後と短いうえに、部分的に前倒し変更も可能なので、この売りがどこで出てくるかも関係する。しかし、これも、結局は、個人の買い意欲次第なので、個人の買いが力尽きたときの売りを加速する要因としては重要だが、最初の暴落のきっかけにはならないだろう。
ただし、個人投資家であっても、上場直後のバブルゲームに参加しているだけというのは、ほとんどのプレーヤーが認識しているはずだから、このゲームは長くとも2カ月程度経てば必ず終わる。2カ月後からは、継続的に下落することになるだろう。
では、スペースX以外のAI株、半導体株はどうだろうか?
スペースXを買うために、これらを売ったのだから、スペースXのバブルで儲けたカネで、再度、これらを買い戻して、もう一度バブルが盛り上がるのではないか?と思うとすれば、それは、株式市場関係者(プロ)達のポジショントークに騙されている。
スペースXを買うために売りが出ている、というのは、もっともらしい説明だが、そういう個人投資家もいることはいるが、AI、半導体株の暴落をもたらした売りは、それとは関係ない「プロ」たちの手じまい売りだ。スペースXは「ネタ」にすぎない。
さらに、スペースXのバブルで儲けられる個人投資家は、ほんのわずか、例外的な人々だ。ほとんどの人は、突っ込んで買って、売り損なって、含み損のまま、売る機会を失い、下落トレンドに入ってしまい、少しでも反転したら売ろう、と思う人ばかりだが、誰も買わないから、目立った反転は恐らくなく、含み損を抱えるか、損切りをさせられるか、どちらかだ。だから、個人投資家全体の資金的余裕は、今後大幅に縮小する。
