金杜法律事務所の戴氏は、従来の規定ではリスクを伴う投資先の定義が限定的であり、主として中国と国交を持たない国や、イランのような特殊な国が対象であったと指摘。今後は、対象範囲がさらに細かく規定されるとの見方を示した。
中国・北京市にオフィスを構える中倫法律事務所のパートナー、于治国氏はリスクを伴う投資先についての規定が中国電子機器大手、聞泰科技(ウィングテック)によるオランダの半導体大手ネクスペリア買収のような案件にも適用可能であると指摘した。
転機迎えた「走出去」
2025年9月にアメリカ政府が半導体・半導体生産技術の対中輸出規制対象にネクスペリアを追加したのを受け、オランダ政府はネクスペリアに対するウィングテックの経営権行使を禁止、具体的にはネクスペリアの最高経営責任者(CEO)を務める張学政氏の職務停止などを命じた。ウィングテックは支配権を取り戻すため、オランダや中国広東省の法廷で係争中だ。中国政府は今後、このような投資先の政府の法規制リスク、法的トラブルの可能性なども勘案して国ごとに政策対応を決めていく方針だ。
さらにこの規定の第25条では外国の組織や個人が「中国の企業や個人との正常な取引を妨害」する場合や「投資家とその海外投資に対して差別的な措置を取り、(中略)正当な権利と利益を不当に剥奪または制限した場合」に関係省庁が貿易や投資の制限・禁止措置などの対抗措置をとることも明記している。ネクスペリアのような事案にも中国政府が介入して対抗措置をとる余地を設けた格好だ。
中国企業による対外直接投資は中国語で「走出去(外出する、の意味)」と呼ばれ、海外市場開拓、M&A(企業の合併・買収)を通じた技術取得につながるとしてかつては政府も後押ししてきた。しかし10年代半ば以降、IT分野などで世界でもトップクラスの競争力を身に付け、守るべき技術やデータも膨らむなか、政府も監督強化へかじを切りつつある。
(財新記者:杜知航)
※中国語原文の配信は6月3日
