ところが3人になった瞬間、何が起きるか。
「超個人的な構造」が生まれるのだそうだ。3人になると「個人」との付き合いではなく、いつの間にか「グループ」として成立してしまう。同盟・調停・排除といった力学が動き始め、複雑な「社会的な力」が入り込んでくる。
2人と3人とでは、たった1人しか変わらない。しかし、たかが「1人」。されど「1人」なのである。
Kさんが感じる「なぜか話した気がしない」という感覚は、世代間ギャップではない。「3人以上になるとグループになってしまう」という現象そのものが原因だったのだ。
「グループダイナミクス」が会話の密度を下げる
ジンメルの理論をさらに発展させたのが、ドイツ出身の社会心理学者クルト・レヴィン(※レヴィンの「組織変革プロセス」は大変有名である)だ。1940年代にアメリカで研究を進め、「グループダイナミクス(集団力学)」という概念を確立した。
レヴィンの主張はシンプル。「集団は単なる個人の集まりではなく、それ自体が一つの動的な全体として機能する」というものだ。
つまり、3人以上になると、そこには「集団」としての固有の力学が働き始める。その力学が、個々人のコミュニケーションに大きな影響を及ぼすのだ。
具体的には、次の3つの現象が起きる。
(2)発言機会が減り、本音が出にくくなる
(3)「2対1」の構図が無意識に生まれる
それでは、一つひとつ解説していこう。
2人の会話では、相手の表情・声のトーン・沈黙の意味をすべてキャッチできる。フィードバックがリアルタイムで返ってくるため、話題を深掘りしやすい。
ところが3人になると、複数の人の視線・発言・反応を同時に処理しなければならない。脳への負荷が跳ね上がり、深い思考がしにくくなる。
「次は誰が話すか」
「今、自分が割り込んでいいか」
を判断するだけで、かなりのエネルギーを消費するという。
結果として、会話は「表層的」になりがちだ。せっかくの場が、当たり障りのない話で終わってしまう。
