すると、そのやり取りを見ていた娘が「誰のせいでもないよ! 責めちゃダメ! チームなんだから! We’re a team!!」とごもっともな言葉で仲裁に入った。その一言に、私たちはハッとした。頭の中で「Touché.(参りました)」とつぶやく自分。怒りはまだ残っている。でも、その上からすっと冷静さが降りてきて、さっきまで尖っていた言葉が、急に柔らかくなる。
起きてしまったことを責め合っても何も変わらない。できるのは、みんなで片づけて、前に進むこと。一緒に床のビールを拭き取り、片づけて、再び走り出した。
過去にも未来にもとらわれない子どもたちは、「今」への集中がすべて。私たちが日々口にしていることを、思っている以上にしっかり聞いている。そして、それを私たち自身ができているかどうかも、厳しい目で見ている。
素直で率直だからこそ、親の矛盾にまっすぐ切り込める子どもたち。そうなるとこっちもごまかせない。普段、頑固な私も、子どもと向き合うときは自然と素直になっている。
だから変わろうと思えて、それが自分の成長に繋がっていく。育てているつもりで、育ててもらっていることが多いのが子育ての実態。そして、お互い育て合うこの関係が、家族という「チーム」。上と下の関係ではなく、それぞれが役割を持つ「チーム」の一員。完璧なプレイヤーはいない。でも、お互いを補うチームプレイができれば、前に進める。この日、娘は私たち夫婦を立派に補ってくれた。
グランドキャニオンで娘とバイクトレイル
"I’m so happy! I don’t say that often."
そう言った娘の声は、驚くほど爽やかで素直だった。明るいけれど、意外とネガティブな言葉も多い彼女が、こんなふうに自分の「幸せ」を自覚して口にするのは、初めてかも。
グランドキャニオン国立公園のバイクトレイルを走っていたときのことだった。豊かな自然、ほどよい風、とてつもない景色。娘が「自然の良い匂いがする!」と思わず叫ぶほど。

