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透けるほど薄い内臓を縫う、小児外科医に「少子化の壁」 『赤ちゃんにメスを入れる』松永正訓氏に聞く

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『赤ちゃんにメスを入れる 知られざる小児外科の世界』の著者、医師・ノンフィクション作家の松永正訓氏(撮影:風間仁一郎)

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透けるほど薄くてもろい赤ちゃんの内臓にメスを入れ、そっと縫い合わせる。小児外科医には特殊な技術と経験が求められる。希少疾患と向き合うことも珍しくない。なぜそうした疾患の子どもが生まれ、どんな治療が可能なのか。小児外科医でノンフィクション作家の著者が自身の経験を交えて描く、知られざる世界。

──染色体異常の子どもを持つ家族の葛藤を描いた代表作『運命の子』など、ルポルタージュを多く執筆されてきました。対して本書は、少し毛色が違います。

『赤ちゃんにメスを入れる 知られざる小児外科の世界』(松永正訓 著/晶文社1980円/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「小児外科学」という学問を広く一般に紹介したいと思った。「子どもの打撲や骨折を診てくれるのですね」と誤解されがちだが、内臓の病気を手術によって治療するのがわれわれの仕事だ。小児外科の魅力を、医師を志す若い人を含めてもっと知ってもらいたい。

動機はもう1つ。僕が大学の職を退いて19年経つが、その間、小児外科学はじりじりと進歩してきた。例えば、後述する「脊髄髄膜瘤」という難病では最近、胎児手術が可能になった。こうした進化を一から勉強し直し、自分の経験と合わせて1冊にまとめたのが本書だ。

──多くの希少疾患が登場します。

小児外科医は普段、鼠径ヘルニア(脱腸)の手術ばかりしている。ところが突然、希少な外科疾患の新生児が運び込まれてくることがある。何しろ症例の少ない疾患が多いから、その一例を大事にする。手術が行われる際には後輩医師たちは手術室に全員集合し、目に焼き付ける。本書ではとくにこうした希少疾患にフォーカスしている。

小児外科医になって2年目、初めて新生児の執刀を任された。生まれつき肛門がない「鎖肛」だった。肛門を作る根治手術をするには体が小さすぎるので、まずはお腹に人工肛門を作る。ガスがたまった大腸はパンパンに膨らみ、腸壁は薄く引き伸ばされている。あの緊張は忘れられない。

──赤ちゃんの手術は、大人とは違いますか。

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