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「何もかもが空っぽで虚無の日々だった」——9歳年下の妻に先立たれた54歳男性の「ひとり暮らし」、少しずつ前へ

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テリー植田さん
亡き妻と過ごした家でひとり暮らしをしているテリー植田さんを取材しました(撮影:今井康一)
  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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発見された時には、すでに多数の臓器に転移していたという。

「抗がん剤とか放射線の治療でちょっと復活はしたんですけど、最後は脳や肺にも転移して。
見つかった時点でどうにもならない状態でした。でも実は僕自身はそこまで深刻に考えてなかったんです。今思えば知識がなかったからなのですが、抗がん剤や放射線をやったら治ると思っていました。彼女の様子も、全然普通だったので……」

ところが思った以上に病の進行が速く、半年後には植田さんはほぼ全ての仕事を中断し、妻に付き添うことになる。

「脳に転移したときに、普通に歩いていても転んでしまうようになった。それで、いよいよ彼女は長くないんだなと。素人の自宅介護ではどうにもできず、入院。僕も病院に泊まり込んで付き添うようになりました」

がらんとした部屋には、ふたりで使っていたであろう家具が引き続き置かれていた(撮影:今井康一)

街のいたるところにある妻との思い出が辛かった

2024年11月。美智子さんは44歳で亡くなった。闘病生活に寄り添う時間はあっという間に過ぎ、残された植田さんには大きな喪失感とともに、治療費や葬儀費用が重くのしかかった。

「美智子のために時間を使おうと仕事を入れませんでした。今までの貯金を使い、自分の生命保険も解約して、全財産使いました。

卵巣がんのような発見されにくい癌に対して、どうか皆さんに備えて欲しい。子宮頸がんの検査をしている人は多いけど、卵巣がんは見過ごされがちなんです。そしてがん治療は、とてもお金がかかることも知っておいて欲しいです」

台所はそうめんレシピ考案の場。各種調味料が整然と置かれていた。(撮影:今井康一)
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