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「北欧は学力低下で紙回帰」はウソ?《デジタル教科書》正式導入でざわつく学校現場、問われる「多様な学び方の保障」

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デジタル教科書授業イメージ
デジタル教科書の正式導入を受け、考えるべきこととは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
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学力をどう捉えるかも問題です。平均点は全体の傾向を見るうえでは重要です。しかし平均点だけでは、誰にどのような効果があったのかは見えません。例えば読み書き困難のある子どもにとって、音声読み上げや文字拡大、ルビ、ハイライトがあることで、初めて内容理解にアクセスできる場合があります。この効果は平均点の中に埋もれることがあります。逆に、平均点が低下しても、それがデジタル機器そのものの問題なのか、授業設計や支援体制の問題なのか、家庭環境や社会的背景の変化なのかはわかりません。

また、新しい方法を導入するときには、教える側も学ぶ側も一過性のコストを払います。慣れない道具を使えば、最初は効率が落ちます。短期的に「やはり紙のほうがよかった」と見える場面もあるでしょう。しかし、それが媒体の本質的な限界なのか、導入初期のコストなのかは区別しなければなりません。

北欧から学ぶべきなのは、「紙に戻すべきだ」という結論ではなく、学年、教科、発達段階、授業設計、支援体制、評価指標を分けて検討し、使う条件をどう再設計するかという姿勢です。

「文科大臣発言」をどう受け止めるべきか

松本文部科学大臣が、すべてがデジタルの教科書について、現時点では「小学校4年生以下では認めるべきではない」、また国語、社会、道徳などでは「ふさわしくない」との考えを示したことも、単純な賛否ではなく、丁寧に整理する必要があります。

低学年や特定教科で慎重になること自体は、一定の理解ができます。前述のように、低学齢の子どもでは、まだ学習への構えそのものを形成している段階であり、限られた認知資源を効率よく使うことが求められます。画面遷移やリンクへの移動などが加われば、学習内容ではなく、操作や選択に認知資源を使ってしまうことがあります。デジタルの多様性が裏目に出ないために、段階的導入を図る考え方には一定の妥当性があります。ただし、これもまた子どもによります。

一方で、何でも完全デジタルにすればよいという考え方も、教育心理学的には粗いと言えます。国語や社会のように、文章全体の文脈を追い、因果関係を整理し、自分の経験や価値判断と結びつけて考える教科では、紙の一覧性や書き込みやすさが有効に働く場面や人もいるでしょう。道徳に関しては、そもそも「何を道徳で育むのか」から議論する必要があります。

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