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「北欧は学力低下で紙回帰」はウソ?《デジタル教科書》正式導入でざわつく学校現場、問われる「多様な学び方の保障」

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デジタル教科書授業イメージ
デジタル教科書の正式導入を受け、考えるべきこととは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
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しかし、「完全デジタルに慎重であること」と「デジタルによる学習支援を不要とすること」は同じではありません。そしてそれは、支援を必要とする子どもと、そうでない子どもを対立軸で捉える話でもありません。

音声読み上げ、文字拡大、ルビ、ハイライト、提示量の調整などは、読み書きに困難のある子どもにとって、学習内容にアクセスする重要な入り口になることがあります。しかし同時に、重要箇所を確認したい子ども、音声と文字を併用した方が理解しやすい子ども、自分のペースで復習したい子どもにとっても、学習を広げる選択肢になり得ます。

つまり、デジタルによる支援は、「支援が必要な子どものために特別に認めるもの」とだけ考えるべきではありません。支援を必要とする子どもが安心して学べる環境は、ほかの子どもの学び方を広げ、学習効果を底上げする環境にもなります。

受け止め方を誤れば「学びの多様性」を狭める

ここで問われるのは、特別扱いをどこまで認めるかではなく、共通の学習目標に向かって、多様な学び方をどう保障するかです。もちろん、デジタル推進の側にも、どの学習効果を狙い、どの機能でそれを支えるのかを十分に整理しないまま、期待だけが先行してきた面があります。

したがって、文科大臣発言を受けて学校現場が考えるべきなのは、「デジタルを使うか使わないか」ではなく、発達段階、教科特性、読み書きの負荷、注意の状態、授業設計を踏まえて、紙とデジタルをどう組み合わせるかです。デジタル教科書は、本来、学び方の多様性を担保する大きな契機になり得ます。

だからこそ、トップの言葉が「低学年には不適切」「この教科では認めない」という一律の印象だけで受け止められると、学習面の支援を必要とする児童への誤解だけでなく、すべての児童に開かれ得る学びの多様性そのものを狭めてしまう危うさがあります。

今回の法改正を、単に「紙からデジタルへ」という媒体変更として受け止めれば、議論は必ず二項対立に戻ります。これから秋に向けて具体的な運用の指針が作られていきますが、問うべきなのは、教科書という基幹的な学習ツールを、子どもの学習到達度を高め、学び方の多様性を保障し、教師の実践を支える仕組みとしてどう再設計するかです。

法改正は、そのための選択肢を増やす契機として捉えるべきです。繰り返しになりますが、これは紙を廃止する話ではなく、紙とデジタルをどのように組み合わせ、学習効果を高めるかという学習上の制度設計の問題なのです。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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