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「北欧は学力低下で紙回帰」はウソ?《デジタル教科書》正式導入でざわつく学校現場、問われる「多様な学び方の保障」

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デジタル教科書授業イメージ
デジタル教科書の正式導入を受け、考えるべきこととは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
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学力の変動は、教材の媒体だけで説明できるものではありません。社会経済的背景、言語背景、移民政策、学校制度、教師支援、授業規律、家庭環境、地域差、学習意欲、デジタル機器の使用状況が重なって表れます。

実際、北欧といっても国によって状況は異なります。PISA2022では、フィンランドの数学リテラシーは484点、スウェーデンは数学482点、読解487点、科学494点で、いずれもOECD平均を上回っています。一方で、これらの国でも一部の領域では18年からの低下は見られます。つまり、「北欧は一律にデジタルで壊れた」とは言えません。

スウェーデンなどで見られる見直しも、一律の「デジタル撤退」と読むべきではありません。低学年での使用を慎重にする、読解場面で紙の役割を再評価する、使用場面を限定する、といった動きはあります。しかし、それは「デジタルそのものを否定する」というより、発達段階、教科内容、授業設計に応じて使い方を再設計する動きと見るべきです。

低年齢の子どもでは、注意の選択や抑制、ワーキングメモリーが発達途上にあります。画面遷移、リンク、動画、通知、別アプリへの移動などが加われば、学習内容から注意が逸れやすくなる。北欧で問題化しているのも、設定された教育目標達成に向けて、発達段階と使用場面の関係をどう制御するかという論点です。

北欧から学ぶべきは「使う条件の再設計」だ

本来、北欧の事例を日本で参照するなら、日本の教育制度、学級規模、教員配置、ICT環境、家庭背景、授業文化が北欧と同じなのかを検討しなければなりません。ところが、この部分はあまり議論されません。現地では年齢、教科、使用時間、読解場面、教師支援、学校制度といった条件をめぐる調整として語られることも、日本では「北欧はデジタルで失敗した」「紙に戻した」という一本の物語に圧縮されやすいのです。

すべての機器には利点と懸念点があります。紙とデジタルを比べれば、後者の方が多くの機能を含み、一般的に自由度は高い。これは大きな利点である一方、戦略を十分に組み立てないまま使えば、便利さそのものが注意資源を奪い、時に学習を妨げることもあります。問うべきなのは「デジタルが悪いかどうか」ではなく、どの学年で、どの教科で、どの場面で、どの機能を、どの程度使うのかという設計です。

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