東京、千葉、埼玉の1都2県8地域の住民や有識者らが中心となって設立された「都市型データセンターあり方検討会」の座長で、一橋大学の寺西俊一名誉教授(環境経済学)は、都市部でDC建設が相次いでいる背景には「海外からの投資マネーの大量流入」があると指摘する。
「この30年、工場跡地などが再開発の対象となり、DC建設に転用されるケースが増えました。大手ディベロッパーや投資ファンドは『利益の最大化』を優先し、地域への『責任ある対応』はしていません」
寺西氏がとくに問題視するのは、法規制の未整備だ。
1950年に制定された現行の建築基準法にはDCの定義がない。行政上の手続きでは「事務所」または「その他」として扱われている。
「近年におけるDCの実態は『工場』や『倉庫』あるいは『危険物の貯蔵場』と同じく『特殊建築物』として扱われるべきで、これが住宅地に近接して建設されることを許していけば、『新しい公害』とも呼ぶべき深刻な諸問題が発生する」と警鐘を鳴らす。
「米大学の研究によると、DC建設が集中している地域では、風下エリアが風上よりも気温が平均0.7~0.9度、最大で2.2度高くなっている。局地的な『ヒートアイランド現象』を深刻化させ、夏場は熱中症リスクを高める恐れがあります」(寺西氏)
さらに、24時間稼働する冷却システムの騒音や、非常用発電機の点検時の黒煙や悪臭、配置されている大量のリチウムイオン電池の火災リスクも無視できない。
検討会はDC建設のあり方に関する「要望書」を提出
検討会は今年3月、日本データセンター協会(JDCC)と東京都に対し、DC建設のあり方に関する「要望書」を提出。都からは3月末に、JDCCからは5月にそれぞれガイドラインが発表された。要望事項の多くは反映されたが、法的拘束力はない。
「まずは自治体レベルで、安易に建築確認を出さない仕組みを整えることが必要。DCが建築基準法上の『特殊建築物』に該当することを明確にし、とくに都市部の住宅近接地での建設を規制できる条例を整備し、その上で、国レベルでの新たな法規制に繋げていく必要があります」(寺西氏)
AI時代に不可欠とされる巨大インフラを、どこに、どのようなルールで受け入れるのか。急拡大するDC開発は、都市と住民のあり方そのものを問い始めている。
(AERA編集部・野村昌二)
