ストーリーズは、写真や短い動画を投稿すると24時間で自動的に表示されなくなる機能である。通常のフィード投稿とは別で、フォロワーや「親しい友達」に向けて、その場の出来事を気軽に共有するために使われる。
フィードには人気のカフェで撮影した"映え"投稿を行い、ストーリーズにはファーストフードで談笑する姿を投稿するといったような使い分けがされている。親しい人に「今こんなことしているよ」と気取らずに日常をシェアしている。
BeRealが「通知から2分」「無加工」「前後同時撮影」という強制力の強い設計であるのに対し、ストーリーズは好きなタイミングで撮影でき、加工も自由だ。カメラに関しても片方での撮影でいい。
つまり構造的に背景が写り込むBeRealと違い、ストーリーズでは本来、写すものを選別できるはずなのだ。それでもストーリーズでの情報漏洩は後を絶たない。
BeRealとストーリーズに共通する「油断」
こうした投稿による漏洩の根っこにあるのは、BeRealとストーリーズに共通する2つの「油断」だ。
1つは、公開範囲を限定していることでの油断だ。どちらのサービスも、基本は相互につながった友達や「親しい友達」に向けた共有であり、不特定多数への発信ではない。見ているのは気心の知れた相手だけだという安心感から、本来は外に出せない社内の様子まで、つい写してしまう。
おそらく、「これは外に出していいのかどうか」といった判断すら行わないほど、リラックスした状態で投稿している。だが、自分が親しいと思っている友達の1人がスクリーンショットを撮って外部に出せば、それはバズを生む投稿にほかならず、炎上系アカウントの1ネタとなってしまう。
もう1つは、投稿が一時的なものだという感覚だ。ストーリーズもBeRealも24時間で自動的に他人からは見えなくなる。「どうせ残らない」という気軽な気持ちが、投稿のハードルを下げる。しかしこちらも誰かがスクリーンショットを撮れば、簡単に流出する。
JCB、日テレ、そして西日本シティ銀行の事案は、使われたアプリこそ違うが、いずれもこの「親しい相手に向けた、その場限りのつもりの投稿」が保存され、Xへ流れたという点で共通している。
Xだけではない。TikTokやYouTube、まとめサイトへと派生し、やがてマスコミに報道される。企業としても騒動に対する対応や社員への聞き取りに追われることとなる。
アプリの仕組みだけではない。社会人経験の未熟さという要因もあるだろう。おそらく投稿する側は、個人のアカウントに上げた1枚が、なぜ企業全体の問題になるのかを把握できていない。
まず、場所や人が特定されるといったリスクがある。背景の窓の景色やビルの内装、近隣の看板から撮影場所が割り出される。入館証が写れば、氏名、所属、顔写真がそろう。複製され、侵入されるかもしれない。
