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3度沈んだ「廃墟百貨店」を蘇らせたのは「電気屋」だった…広島・福山そごう跡地、30年目の逆転劇

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「iti SETOUCHI」の週末のイベント風景(写真:iti SETOUCHI)
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当時の自分を、彼は「まちに飛び出す公務員」と振り返る。部署の異動があっても、まちに関わり続けることが自分の使命だと、プライベートの時間でまちに飛び出していた。中央公園のプロジェクトなどに参加する谷口さんを知った島田さんが、スピード感のある再生には欠かせない人物だとスカウトしたのだ。

「公務員時代に感じていたのは、行政と民間、地域をつなぐ『翻訳者』の必要性です。行政と民間の間にある大きなギャップに、歯がゆい思いもしていました。島田さんに声を掛けられ、一度きりの人生を、新しい挑戦に懸けてみようと決めたんです。とはいえ、さすがに退職届に名前を書くときには、安定した公務員の職を捨てるのだと震えました」

2021年4月、谷口さんは福山電業に入社。新しい施設のアイデアを練る当時36歳の島田さんと、それを具体化する31歳の谷口さん。両輪が揃い、プロジェクトは走り始めた。

2階から上と地下を「巨大な天井裏とピット」と解釈

建物の具体的な設計を担ったのは、馬場正尊さんが代表を務める東京の建築設計事務所、オープン・エーだ。

彼らが最初に行ったのは、大胆な“解釈の変更”だった。2階から上と地下を、「巨大な天井裏」「巨大なピット」と解釈し直したのである。使わないフロアを“構造物の付属物”とみなした。

オープン・エーの平岩祐季さんと竹内咲恵子さんは、公園らしさを感じさせる空間をどのように作るかを、福山電業と徹底的に話し合ったという。設計は福山市が条件に出していた、建物の壁を4カ所撤去するための計算から始めた。避難経路を作ると同時に、建物の中と外を緩やかにつなげる、再生の重要なポイントだ。

「強度や風の通りを計算して、4カ所の穴の位置や大きさを決めました」(平岩さん)

外壁を撤去し、ビニールカーテンでゆるやかに区切った出入り口(写真:iti SETOUCHI)

壁に穴を開けて外とつながるだけではない。建物の内部には通路を設け、自転車やベビーカーなども通行できるようにした。建物には「公開空地」という、一般の人が自由に出入りできる空間を設ける必要がある。この公開空地を建物の中に付け替えることで、建物外側の空間をフレキシブルに使えるようにしたのだ。

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