最初に手を挙げたのは、福山そごうのライバルだった、岡山の老舗百貨店、天満屋だ。2003年、商業施設「福山ロッツ」として開業した。当初こそ売り上げは好調だったが、バブル崩壊後も続く不景気が大きな影を落とす。
2011年には売り上げが初年度の半分となり、空き店舗が目立つようになった。2012年には福山駅前の商業施設「キャスパ」が閉店し、駅周辺の人の動きがさらに鈍った。そして、2013年4月、契約期間満了により福山ロッツも閉店する――これが“2度目の沈没”である。
次に手を挙げたのは、東京の不動産会社、大和情報サービスだ。福山に本社を置く大手企業が命名権を取得し、建物の正式名称は「エフピコRiM(リム)」となった。そこに2013年4月にオープンした商業施設「RiM-f(リム・ふくやま)」には、店舗だけでなく美術館や展示室も設けられた。
しかし、経営の厳しさは変わらず、テナントは次々と撤退。そのあとには、子育て応援センターや男女共同参画センターなど、市の施設が入っていった。
福山市に住む筆者は、この建物を訪れるたびに空きスペースと公共施設が増えていくことに、違和感を抱いたのを覚えている。素人目には、中身がスカスカな巨大な抜け殻が、かろうじてその体を保とうとしているだけのように見えた。
同じ頃、福山市も限界を感じていた。建物の完成から25年以上が経過し、設備の老朽化が問題となっていた。空調設備の更新だけでも数十億円かかる。これ以上、莫大な費用を投じることはできない……。
こうして2020年8月、リムふくやまは閉店。“3度目の沈没”が訪れた。
「全体改修65億円」「解体30億円」市が選んだ意外な答え
その少し前、2016年の福山市長選で、「駅前の再生」を公約に掲げた枝広直幹市長が就任する。市長の号令で、市は駅周辺の再生事業にあらためて取り組んだ。中でもエフピコRiMの再生は、重要な課題だった。
2018年には、建築・都市・地域再生プロデューサーの清水義次さんを座長とした「福山駅前デザイン会議」で、具体的な再生プランの検討が始まっている。出てきたのは、4つの選択肢だ。
