もちろん、長友選手自身が「自分は“空気清浄機”の役割ができる」と語っているように、その豊富な経験を生かしてチームを支える存在であることは間違いありません。ベテランとして若手を支え、チームをまとめる役割は大きな価値を持つでしょう。
ただ、森保監督が長友選手を選んだ理由は、それだけではないはずです。オン・ザ・ピッチの戦術の部分で、フィールドプレイヤーとしての長友選手に戦術的な価値を見いだしているのではないでしょうか。
私は、長友選手は「メンター」であると同時に、森保ジャパンが本大会で切り札として投入するための“秘密兵器”でもあると考えています。
では、その戦術的価値とは何なのか。そして長友選手は今回のワールドカップでどのような役割を担うのか。ここから詳しく考察していきましょう。
データから見る長友の現在の実力
まず、長友選手は昨シーズンのFC東京において、ディフェンシブサード(ピッチを3分割した際、自陣ゴールに最も近いエリア)でのスプリント回数がチームトップでした。また、クロス数も1試合平均3.5本でJ1リーグ9位を記録するなど、データ面を見ても大きな衰えは見られません。
さらに長友選手の特殊性として挙げられるのが、その圧倒的なポジション適性です。4バックでは左右のサイドバック、3バックでは左右のウイングバック、さらには5バックでも左右ウイングバックを担うことができる。
システム変更が当たり前となった現代サッカーにおいて、これだけ幅広い役割を高いレベルでこなせる選手は決して多くありません。この汎用性の高さは、やはり大きな武器ですよね。
森保ジャパンの戦術には、他国やクラブチームであっても類を見ないものがあります。
それは横や縦のポジション関係の選手同士が複数入れ替わる点です。
直近の親善試合のアイスランド戦や、3月の欧州遠征を含めて、特に攻撃の際に、ウイングバックやシャドーの選手が入れ替わったり、シャドーとボランチ、センターバックとウイングバックが入れ替わることもあります。その中で相手選手のマークが混乱する内に、大外からのクロスを中央に配球する点では、右の菅原由勢、左の長友佑都の存在は見逃せません。
では、長友選手がスタメンとして起用されるのかというと、そうではないかもしれません。
その代わり、途中投入という役回りで出場機会を得る可能性は十分にあるのではないでしょうか。
