2ちゃんねる等のかつてのネット掲示板であれば、どれだけ激しい議論や罵り合いが起きても、「1000レスでスレッドが終了する」という物理的な区切りや、「日付が変わればIDが変わる」というある種の救いがあった。しかし、現代のSNSにはそれがない。過去の発言や人間関係がすべて固定されたアカウントにひも付きさらされ続ける。
かつてのアングラな掲示板でさえ数々の深刻な事件が起きたことを考えれば、社会インフラとなった現代のSNSにおいて、精神的に未熟な子どもたちがより深刻なトラブルに引きずり込まれてしまうのは、いわば構造上の必然とも言える。
こうした実態を踏まえれば、年齢に応じた利用の制限、安全性を高める初期設定、適切な年齢確認などの対応は急務である。しかし、年齢確認を実効性のある形で義務化するには、いくつかの大きなハードルが存在する。
年齢確認の厳格化に「4つの大きなハードル」
第一に、どのように正確な年齢を確認するかという「方法の課題」である。マイナンバーカードなどの公的証明書の利用は確実だが、個人情報の過度な収集への懸念や漏洩リスクが伴う。先行するオーストラリアでも、身分証やAIによる顔スキャンといった生体情報を用いた厳格な確認にはプライバシーの観点から反発が強く、デバイスやサービス独自の確認に依存せざるをえないため精度に限界があることが課題となっている。
また、グローバルにサービスを展開する大手SNS事業者などにとって、国ごとに異なる仕組みを運用することは多大なコストとなるため、年齢属性のみを安全に受け渡す標準化の検討が不可欠となる。実際、すでにIEEE(米国電気電子学会)やISO(国際標準化機構)において年齢確認の国際規格が策定されているほか、EUでも共通の年齢確認アプリの準備が進むなど、グローバルな標準化の動きは活発化している。
第二に、「抜け穴の問題」である。例えば、先行するオーストラリアでは、主要SNSが規制された結果、子どもたちが対象外のアプリへ移動してしまう「いたちごっこ」や、VPNを利用したアクセス偽装によるすり抜けがすでに大きな課題として浮上している。サービスの変化が速いことから、SNS事業者に対する継続的な評価と執行体制が不可欠となる。
さらに、年齢確認を厳格にしても、保護者が自身の身分証でアカウントを作成して子どもに与えてしまったり、ダークウェブなどで第三者が年齢確認を代行する「悪質な名義貸し」が行われたりするなど、第三者による回避の余地も残されている。
