4玉同一価格の設計も、この文脈で読むと意味が変わる。各メニューページに大きく記載されたその案内は、「量を気にせず食べていい」という心理的な余白を作る。実際、大盛り注文客も目立った。ただしシェア前提には見えない。“普通にたくさん食べる店”として成立していた。
焼肉きんぐや丸源ラーメンを多店舗展開してきた物語コーポレーションは、単なるブランド企業ではなく「オペレーション企業」でもある。だからこそ問うべきは「チェーン化できるか」ではなく、「この業態が物語のオペレーションに乗るか」だ。
現場を見る限り、その問いへの答えはまだ出ていない。接客は丁寧で、スタッフ同士の声掛けも多く、接客の型がかなり共有されている印象だ。キッチン人数も多め。一方で、お盆サイズが大きく卓上に乗り切らない場面や、天ぷら提供のタイミングがずれる場面も見られた。1号店ならではの調整途上という印象だ。
フルサービス型は、セルフ式より人件費負荷が高くなりやすい。もっちり麺の品質を圧力釜で安定して再現し、接客水準を多店舗で維持できるか。この業態が物語のシステムに乗るかどうかの答えは、今後の出店数が教えてくれる。
「肉讃岐」が持ち込もうとしている価値
「肉讃岐」という命名に、物語コーポレーションの本音が透けて見える。うどんだけで戦うというより、肉の文脈でうどん市場に入り込もうとしているように見える。
便利さを否定しているのではない。ただ、セルフ式の便利さとは別に、迎えられ、説明され、席で待つ時間に価値を感じる客もいる。源次郎は、その需要をうどん市場で受け止めようとしているように見えた。
こんなに店舗のスタッフと会話することがあったんだな、と思う外食だった。その感覚こそが、セルフ式チェーンが存在感を高めた時代に源次郎が持ち込もうとしている価値なのかもしれない。1号店の座間から、この仮説が証明されるかどうか。その答えは、これからの出店数が語っていく。
