10キロ走るのが平気なランナーでも、自分の限界のペースで42.195キロのフルマラソンを走ると、後半は疲労困憊します。でも、ゴールが見えて「あともう少しだ」とわかった瞬間、脚が軽くなってペースを上げられるケースはよくあります。
トップレベルのマラソンランナーが、ゴールがあるスタジアムの周回コースに入った瞬間、ギアを切り替えて猛然とペースアップする場面を、テレビなどで見かけたことはないでしょうか。
中枢性の疲労のブレーキが外れるとゴール手前でペースを上げられる
いちばん疲れているはずのゴール手前でペースを上げられるのは、酸素とエネルギー源が途絶えてATPが涸渇する心配がなくなり、余力を残す必要がなくなったため、中枢性の疲労のブレーキが外れたからです。
限界の手前でブレーキをかけるために中枢性の疲労は不可欠ですが、運動不足で体を動かし続けることに不慣れだと、中枢性の疲労があまりに早くストップをかけすぎます。運動に慣れていないせいで、あとどのくらいでATPが再合成できなくなるかが予測できないため、余力がまだまだある段階で早めにブレーキをかけるのです。
私のクライアントでも、初めて一緒にジョギングした際、超スローペースなのに、あとで「死ぬかと思うくらいつらかったです!」と泣きそうな顔で告白してきた方もいます。でも、1カ月もしないうちに、ペースを上げても平気になってきます。
この変化は体力の向上によるものというよりも、運動に慣れて、どのくらいの余力を残しておけばいいかがわかるようになり、中枢性の疲労がブレーキをかけるタイミングが適正化したことによるものなのです。
早すぎるブレーキを適正化して、余計な疲れを感じにくくするためには、疲れるくらいの高強度のトレーニングが欠かせないのです。


