パンデミック(感染症の世界的大流行)や戦争といった想定外の事態を迎えると、それまで隠れていた経済の弱点が浮かび上がることがある。今回のホルムズ海峡危機は、日本の産業界の古い体質を浮かび上がらせていると言えるのではないか。
代替のナフサ調達先としては、アメリカ以外にアルジェリアやペルーなどがある。ただし、新たなル-トで個別に運ぶとなると調達価格はどうしても高くなる。量は確保できても、単価が高くなるために企業の採算は悪化するだろう。業界ごとの「目づまり」も、引き続き懸念材料ということになる。
「AI投資ラッシュ」で稼ぐ日本はまだ捨てたものじゃない
貿易全体を見ると、4月の輸出は10.5兆円で輸入が10.2兆円。締めて貿易収支は3019億円の黒字で、昨年4月の1492億円の赤字からは大幅改善となった。これは原油輸入が減ったからというよりも、輸出が盛大に伸びているからと考えたほうがいい。前年比で見ると、輸出は14.8%増、輸入は9.7%増となっている。これで3月4月と連続で輸出入が共に10兆円の大台に乗っているが、これは史上初めてのことだ。
昨年春の「トランプ関税」導入や、今年2月末からのイラン戦争など、貿易については悪いニュースが続いているのに、なぜ輸出が伸びているのか。筆者も最初はインフレで金額が水膨れしているのかと思ったが、「貿易指数」を見ると「数量」は輸出入ともに伸びている。輸出の地域別内訳を見るとアジア向けが+16.1%、北米向けが+12.9%、西欧向けが+22.4%、大洋州向けが+44.0%で、中東向けが落ち込んだ分を余裕で取り返している。
品目別で見ると、「日本経済の四番打者」たる自動車は14.8%増のうち寄与度で見るとわずか0.6%を占めるにすぎない。実は自動車輸出は昨年秋からすでに回復していて、対米輸出も月間5000億円前後とほぼ「トランプ関税」以前の水準に戻っている。アメリカの消費者は、15%の自動車関税を上乗せして日本車を買ってくれていることになる。
この春、増減寄与度で健闘が目立つ輸出品目はといえば、「半導体等電子部品」2.5%、「非鉄金属」1.2%、「原動機」0.7%、「建設用・鉱山用機械」0.4%、「重電機器」0.4%など。要するに「AI投資関連」で、データセンターなどが建設ラッシュとなると、半導体や重電機器、建設機械、工作機械などの日本製品がよく売れるのだ。特に電力需要が高まれば、日本製の発電関連機器に注文が来るということである。
現在の日本経済には、哀しいかな「AI投資」で世界の先頭を行くような力はない。ただし、その「追い風」を受けられる製造業がまだ残っている。
いわばAI投資という「ゴールドラッシュ」において、日本企業は主役ではないものの、金を掘る人たちに「シャベルやつるはし」を売る仕事でしっかり稼いでいる。19世紀のゴールドラッシュでも、確実に儲けたのはシャベルやつるはしを売った人たちだったと聞く。これはこれで励まされる話ではないだろうか(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
