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米イラン軍事衝突はアジアのエネルギー危機に発展/ホルムズ海峡封鎖があと2カ月続けば世界経済に甚大な影響

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エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表取締役(撮影:尾形文繁)

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アメリカ、イスラエルの先制攻撃に端を発したイランとの戦争は1カ月半にわたって続いており、今も終わりが見えない。4月12日にはパキスタンの首都イスラマバードでの和平協議が決裂し、再び戦火の拡大が懸念されている。中東からの原油、天然ガス供給は大幅に減少し、とりわけアジア経済への打撃が大きい。エネルギー問題の専門家である松尾豪・エネルギー経済社会研究所代表取締役に、今後の展望と必要な対応策について聞いた。

──注目されていたアメリカ、イランの和平協議は決裂しました。アメリカのトランプ大統領は、イランからの原油輸出を遮断するために米軍を出動させ、ホルムズ海峡を封鎖する動きに出ました。他方で和平を模索する動きも出てきています。

2月28日に始まったアメリカとイランの戦争は1カ月半を超え、東南アジアや南アジアの国々では、石油不足によって社会の混乱が非常に高まっている。一部の国では非常事態宣言が出されている。早急なホルムズ海峡の安定航行再開が必要であるものの、アメリカとイランの和平協議が決裂したことによって、戦争の行方が不透明な状況が続いている。

ただし、現時点において停戦は遵守されている模様で、この点は1つの朗報である。2回目の協議の可能性が取り沙汰されているので、今後の協議に期待したい。戦争が長期化すれば、原油・LNG(液化天然ガス)価格のさらなる上昇につながり、世界経済への影響はさらに深刻なものとなる。戦争の早期終結、ペルシャ湾の早期航行再開、そして被害の全容把握が急務である。

米軍によるホルムズ海峡の逆封鎖により、イラン側がどのような反応を示してくるか注目される。現時点でイラン革命防衛隊は反応していないものの、仮に中東代替ルートを攻撃され、甚大な被害を受けた場合、日本の原油調達にも影響が生じかねない。

日本では石油製品のうち、重油・軽油など中質~重質系の製品需要が約半分を占める。中東以外で有力な調達先となっているアメリカの原油は軽質であり、重質の製品が製造できない。日本の石油需要には中東代替ルートで確保した原油が必要不可欠であるが、ペルシャ湾以外の中東産原油も不確実性が高まっている。

終わりが見えない「ナイトメア」

松尾 豪(まつお・ごう)/大学在学中に学生起業参画後、2012年イーレックス入社。アビームコンサルティング、ディー・エヌ・エーを経て、21年3月より現職。発電・送配電・燃料(石油・石炭・LNG・原子燃料)分野のコンサルティング・リサーチを手掛ける (撮影:尾形文繁)

──今回の軍事衝突はアジアを中心として全世界でエネルギー危機を引き起こしています。

これほどまで深刻な事態は見通せていなかった。イランは、ペルシャ湾奥のカーグ島から原油を輸出している。その輸出量はイラン全体の輸出量の約9割にもなる。戦争によってホルムズ海峡が封鎖された場合、イラン産原油の出荷もできなくなると考えられていた。ゆえに海峡の封鎖は想像しがたいという見方が私を含めて主流だった。

2025年6月のアメリカ、イスラエルとイランの間での軍事衝突は12日間という短期で終結した。今回も当初は短期で終結するとのシナリオが主流で、1カ月以上にわたって戦争が継続し、先行きも展望できないという事態は想像すること自体が難しかった。

戦争研究所などアメリカの有力シンクタンクも、弾道ミサイルの発射数の推移などを根拠に、イランが保有する弾道ミサイルの残数はかなり減っており、比較的短期で事態は沈静化するという見方だった。

しかし実際にはイランの革命防衛隊は抵抗を続け、終わりが見えなくなっている。国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男元事務局長は、「ナイトメア(悪夢)」という言葉を用いて今回の事態を表現した。

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【原油、LNGは足りるのか】

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