また、昨今は、ナフサ不足に関する懸念がやかましい。「ナフサ」は、「石油製品」という項目の中の「揮発油」に含まれている。4月統計を見ると、「揮発油」の輸入量は前年比37.7%減となっている。従来の日本はナフサの7割を中東から輸入していたが、4月はそれが3割にまで低下した。輸入先のひとつであった韓国も、3月からはナフサ輸出を全面禁止して、国内産業を保護している。それでは日本はいったいどの国からナフサを買っているのか?
アメリカからのナフサ輸入が激増していたワケ
実は意外な「穴場」があった。4月の地域別輸入データを見て驚いたのだが、アメリカからの揮発油輸入が前年比数量で「206倍」、金額では「107倍」になっている。それにしても変化率を「%」ではなく、「倍」で表すなんて、こんな統計は初めて見たぞ。4月の日本は、アメリカから全体の4割のナフサを買っている。
なぜアメリカにはナフサの供給余力があるのか。調べてみて驚いたのだが、アメリカはもう石油化学製品の原料として、石油由来のナフサを使っていないのだ。
過去四半世紀に進行したシェール革命の結果、アメリカ国内で産出する天然ガスが原料となっている。そこからエタンを取り出してエチレンを作り、ポリエチレンからプラスチックまで石油由来の製品を製造することができるのだ。原料がパイプラインで運ばれてくるから、輸送コストも格安となる。結果としてアメリカは、石油関連製品が安いコストで作れる国となっている。
「シェール革命」というと、われわれは「エネルギー分野の技術革新」という先入観があるけれども、実は石油化学工業の分野でもイノベーションをもたらしていたのである。
一方、日本はどうかと言えば、石油化学産業が「コンビナート」という形で集約されているために、既存の体制をなかなか変えられない。巨大タンカーで運んできた原油を元に、さまざまな企業が順次、精製・加工していく設備が出来上がっている。近年は中東や中国で巨大プラントが建設されていて、それらに比べればどうしても価格競争力は劣る。本来であれば、大胆な事業統合や設備の集約が必要なはずだが、日本企業の常としてそういうことは得意ではないし、時間もかかるというわけだ。
