パリで長年活動してきた上村氏が気づいたのは、欧州の成熟した女性たちの美意識だ。フランスやイタリアの50代・60代の女性は「若く見せよう」としない。それどころか、自分が生きてきた年月を、品と深みとして纏っている。
若い世代と競うのではなく、自分にしか出せない魅力を磨く——それが欧州的な「成熟の美学」だ。
一方、日本では「若く見せたい」という意識が先行しがちだ。シミやしわをコンシーラーで何とかして隠そうとする。まつげを長くエクステで伸ばして若い頃に近づこうとする。しかし上村氏はこう指摘する。
「隠しすぎると、かえって年齢感が目立ちます。人生を消そうとするのではなく、それを生かして美しく見せることが若く見える秘訣です。内田有紀さんのような年齢の概念を無効化することにつながるのです」
この言葉は、「がむしゃらさが見えない自然な若さ」の正体を鮮やかに言い当てている。「何もしていない」のではなく、「人生の深みを内側から放っている」——それが「2種類の若さ」の分かれ目なのだ。
「年齢という概念を無効化する」3つの実践
理論と哲学がわかれば、あとは実践だ。資生堂に33年勤務した筆者が研究者として推奨し、上村氏の知見と融合させた3つのポイントを紹介したい。
肌老化の原因の約8割は紫外線によるものだ。つまり継続的な紫外線ケアを習慣にすることで、10年分の加齢を最大2歳程度に抑えることも、理論上は可能になる。
筆者自身、30数年にわたって日焼け止めを励行してきた。アラサーから始めた習慣だが、特に若づくりをしなくても、大抵は若く見られるのは、肌が理由なのではと感じている。「整える」メイクの前に、まず土台となる肌を守ること——これがすべての出発点だ。
