OECDが付加価値税減税に批判的な立場であることは、2月15日配信の本欄「『消費税減税』一色に染まった衆院選の“重すぎるツケ”、ヨーロッパの失敗を今になって繰り返す日本政治の深刻な機能不全」でも紹介した。その立場が改めて確認されたといえる。
同報告は「日本は中長期的な財政持続可能性の重大な課題に直面している」と明記。公的総債務残高が2024年時点で国内総生産(GDP)の約206%に達し「OECD諸国で最高水準にある」としている。
そして、日本の消費税率が「OECD諸国で最低水準」であることに触れ、「日本は歳入拡大のために消費税に頼るべきである」との方向性をはっきり打ち出した。消費税率を毎年1%ずつ18%まで引き上げれば、財政収支がGDP比で3.0ポイント改善するとした。
来日したOECDのマティアス・コーマン事務総長は「(消費税減税は)荒っぽい対応だ。高所得者のほうが恩恵が大きくなる」と、否定的な考えを示した。
それでも「悲願」を押し通す高市首相
このように、消費税減税という考えは数カ月前に比べると大きく後退したかに見えた。私は、消費税減税からの後退は、正しい方向だと考える。
しかし、高市首相は6月4日の衆院予算委員会で、2年間に限った食料品の消費税減税の関連法案を秋の臨時国会を念頭に提出するとした。政府・自民党は食料品の消費税率を27年4月から1%に下げる案を検討している、とも報道されている。
かつて高市首相は、25年5月に自民党の税制調査会が開いた勉強会後、記者団に「国の品格として食料品の消費税率はゼロ%にするべきだ」と強調した。また、26年1月19日の衆院解散会見では、飲食料品の消費税を2年間ゼロにする構想について、「私自身の悲願」と強調した。
国民会議の方針とOECDの報告は、こうした方向とは正反対のものだと考えざるをえない。「悲願」を押し通す考えを強めているとみられる高市首相は、難しい舵取りを求められそうだ。
