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地上波とNetflixの"決定的な違い"は「予算」ではない―― 「地獄に堕ちるわよ」が突きつける日本の映像産業の根本問題

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岡野プロデューサーと瀧本監督
『地獄に堕ちるわよ」の岡野プロデューサー(左)と瀧本監督(撮影:今井康一)
  • 境 治 メディアコンサルタント
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「細木数子自身の記憶」というフレームがあるからこそ、恥ずかしいほどのロマンティシズムが成立する。そして、そのロマンティシズムこそが「エネルギーがあった時代」を映像として体現しているのだ。

キャスティングの話を聞くと、この作品がいかに「戦後の空気」を再現しようとしたかがさらに見えてくる。島倉千代子役の三浦透子について、岡野プロデューサーはこう語った。

「実際に歌えることが大前提でした。加えて監督からは、昭和のスターの現代的ではない表情が欲しいと。歌えて、あの時代の表情ができて、島倉さんの可憐さと弱々しさの中にある強さを持っている人を考えたとき、三浦透子さんしかいなかった」(岡野プロデューサー)

島倉千代子(左)の会見シーン(写真:Netflix)

瀧本監督の評価はさらに踏み込んでいた。

「昭和の暗さというのかな。彼女自身が持っているものと、この作品の時代性がすごくマッチしている。出番としてはそんなに多くないんだけど、戸田恵梨香と拮抗する存在感がある」(瀧本監督)

この作品では登場人物の年齢が大きく変化する。特殊メイクを担当したAmazing JIRO氏は日本の第一人者だが、それでも戸田恵梨香のメイクテストだけで合計3回、1回当たり3時間以上を費やした。CGも併用し、違和感をひたすら潰していったという。

「違和感を潰す作業をひたすら繰り返すしかない。結局やっぱり時間なんですよね」(瀧本監督)

地上波とのたった1つの根本的な違い

「時間」はこのドラマのクオリティーを支える重要な要素だ。Netflixでの制作は日本の地上波と何が違うのか。瀧本監督の答えは、予算でもスケジュールでもなく、やはり「時間」に関係していた。

「実はいちばん大きいのは、尺が決まってないことです。地上波は46分何コマに合わせなあかん。そうすると、編集でどうにでもなる撮り方をせざるをえない」(瀧本監督)

尺の自由は、ドラマのクオリティーを左右する根本的な要素だと監督は続ける。

「地上波のドラマから監督の個性が生まれづらいのは、すべてそこが起点やと思いますね。金がなきゃないなりに、制約が新しいものを生み出すいうことは多々ある。でも、いちばんの違いを問われたら、尺です」(瀧本監督)

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