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地上波とNetflixの"決定的な違い"は「予算」ではない―― 「地獄に堕ちるわよ」が突きつける日本の映像産業の根本問題

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岡野プロデューサーと瀧本監督
『地獄に堕ちるわよ」の岡野プロデューサー(左)と瀧本監督(撮影:今井康一)
  • 境 治 メディアコンサルタント
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岡野プロデューサーは別の角度から語った。

「もともと7話構成でスタートして、演出していく中で『ここを大事にしよう』と言って全9話になりました。そういう柔軟性が作品のよさにつながった部分はあったと思います」(岡野プロデューサー)

さらにチーム編成について、岡野プロデューサーはこう振り返った。

「美術監督も撮影監督も瀧本さんも、それぞれこだわりが強い。プロデューサーからすると、そのようなクリエイターたちで新しくチームを組成するなんて、普通はなかなかできない。Netflixだからできたチャレンジだったと思います」(岡野プロデューサー)

(左)瀧本智行(たきもと・ともゆき)/監督。2005年映画『樹の海』で監督デビュー。同作で東京国際映画祭日本映画・ある視点部門作品賞・特別賞受賞。 (右)岡野真紀子(おかの・まきこ)/Netflix コンテンツ部門 マネージャー。2021年Netflix入社。東京オフィスを拠点に、日本発の実写作品の製作を行う(撮影:今井康一)

一方で瀧本監督は、日本の地上波ドラマの粗製濫造気味の現状に厳しい目を向ける。

「日本のドラマが海外といちばん差があるのは、映像やと思うんです。多すぎる本数を腹くくって減らして、集中的に資源と時間を投下していかんと」(瀧本監督)

『地獄に堕ちるわよ』は現在、日本だけでなくアジア圏を中心に海外でもNetflixの週間トップ10に入っている。それでも「まだまだ、積み重ねが必要なんやと思います」と瀧本監督は言う。

日本のドラマが質を高めて1作ずつの評価が重なっていくことで、世界市場への道も開けるかもしれない。

ドラマが映した戦後の肖像

『地獄に堕ちるわよ』で瀧本監督が描こうとしたのは、一人の女の人生を通じた日本の戦後そのものの肖像だった。岡野プロデューサーが企画に込めたのは、今の時代に失われたエネルギーへの問いかけだった。その2つの意志が「礼賛も断罪もしない」スタンスの中で結実し、1本のドラマになった。

ここまでのクオリティーを日本の作り手が実現できたという事実は、1本の作品の成功譚にとどまらない。環境さえあればここまでできる。逆に言えば、今の地上波の消耗戦の先に、この水準は生まれない。

日本の映像産業が何を変えなければならないのか。その問いへの1つの回答が、この作品の中に確かに映っている。

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