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重要なのは「何をやるか」ではなく「何をやめるか」 50歳を過ぎたら心に刻むべき《人生後半の勝ち筋》の見極め方

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「努力は蓄積し、いずれ報われる」という考え方は捨てるべきだという(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
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前進は勢いでできますが、撤退には冷静な状況認識と決断が必要です。どの時点で、どこまで退くか。この判断を誤れば、損失は不可逆的なものになります。

撤退は敗北ではありません。負けないための技術なのです。ここで確認しておきたいのは、収縮は消極的な選択ではなく、極めて能動的な戦略だという点です。

不要なものを切り捨てることによって、本質的な領域に集中できるようになります。その結果、限られた資源で最大の効果を得ることが可能になります。これは単なる防御ではなく、最適化です。

人生後半において重要なのは、増やすことではなく減らすこと、広げることではなく絞ることです。そして何よりも、勝つことではなく、負けないことです。この転換を受け入れられるかどうかが、人生後半の生の質を決定するのです。

撤退戦のバイブルに学ぶ「負けない技術」

人生後半の戦略を考える際、ほとんどの人が参照していないにもかかわらず、実は極めて有効な思考資源があります。それが、日本陸軍の教範『作戦要務令』を現代的に読み解いた大橋武夫の『作戦要務令 その企業的研究』です。

この書物の本質は、戦争の勝敗を「前進」ではなく「撤退」によって捉え直した点にあります。

私たちはどうしても「勝つこと」「前に進むこと」に意識を集中させがちです。しかし現実の戦場において最も困難であり、かつ組織の真の力量が露わになるのは、劣勢に転じた後の撤退局面です。前進は勢いで可能です。

士気が高く、補給があり、優勢である限り、組織は自然と前進します。しかし状況が逆転した瞬間、問題は「いかに退くか」へと一変します。

退却戦闘の本質は、迅速かつ秩序立って戦闘から離脱することにあります。師団長が退却を決断した場合、まず後方の部隊の整理を完了し、複数の縦隊を編制して並進させる態勢を整えます。

そのうえで、各部隊に対して退却経路、目標地点、開始時期、順序、収容部隊や退路警戒などを明確に指示し、統制された行動を徹底させる必要があります。

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