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重要なのは「何をやるか」ではなく「何をやめるか」 50歳を過ぎたら心に刻むべき《人生後半の勝ち筋》の見極め方

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「努力は蓄積し、いずれ報われる」という考え方は捨てるべきだという(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
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したがって、戦線を縮小し、防御を集中させることで戦力を温存する。この判断ができるかどうかが戦局を左右します。人生後半も同じです。すべてを抱え込もうとする姿勢そのものが危険なのです。重要なのは「何をやるか」ではなく、「何をやめるか」です。捨てるものの選別こそが戦略の核心になります。

この選別を困難にする最大の要因が欲望です。人間の欲望は本来的に拡張志向を持っています。しかも現代社会は、その欲望を意図的に増幅する構造を持っています。広告やSNSは、常に他者との比較を可視化し、現状への不満を喚起します。

その結果、人は本来必要でないものまで必要だと錯覚するようになります。この「誘導された欲望」が、資源配分を歪める最大の原因です。

この点について荀子は重要な示唆を与えています。竹村健一は『「荀子」人生で学ぶべきこと: 我が心の師』の中で、荀子の議論を「人間というものは、心にかなったように振る舞い、心にそむくことはやりたくないものだ。従って、道より優れたものはないとわかれば、道を無視するわけはない」と訳しています。

ここで述べられているのは、欲望の全否定ではありません。必要なのは、欲望を分類することです。すなわち、本質的欲望と誘導された欲望を区別することです。

本質的欲望とは、生存、安心、最低限の充足に関わるものです。他方、誘導された欲望とは、比較や承認に基づくものです。この2つを混同すると、判断は必ず誤ります。したがって、欲望に対して距離を取る技術が必要になります。

「撤退」こそ最も高度な戦略判断

ここで最も簡便で有効なのが、「時間をおく」という方法です。現代の消費行動は即時性によって成立しています。欲しいと思った瞬間に手に入る環境が整っているため、欲望は検証されることなく実行に移されます。

しかし、そこに時間を挟めば、欲望の多くは自然に減衰します。3週間ほどおいてもなお残るものだけが、本質的欲望である可能性が高い。この単純な操作だけで、資源配分の精度は大きく向上します。

また、最終的に求められるのは、「撤退」の技術です。撤退という言葉には、一般に敗北のイメージが伴います。しかし実際には、撤退こそ最も高度な戦略判断です。

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