――22年度から通常の賞与とは別に「業績連動型賞与」(決算賞与)を導入し、昨年は全社員一律約100万円の支給が大きな話題になりました。25年度決算を踏まえた今年の支給額は決まりましたか。
今年は、全社員に一律120万円を現金支給する。
当社は22年度決算から業績に連動した決算賞与を導入しており、昨年は97.8万円を全社員に一律で支給した。そのうちの49.4万円が、ファントムストック(株価連動報酬制度)に基づく現金支給だった。
25年度決算は、現中期経営計画で掲げた連結事業利益1000億円目標を1年前倒しで達成できたので、今年の支給額には特別賞与として38.4万円を加算した。25年度は通常賞与の支給額が平均で約60万円だったので、決算賞与を合わせた総賞与額は1人当たり平均180万円程度になる計算だ。
変化した社員の「やる気」
――決算賞与を導入した狙いを教えてください。
狙いは大きく2つある。1つは、業績に対する社員の関心を飛躍的に高めること。もう1つは、ファントムストックの導入によって株価を意識してもらうことだ。
実際に、効果は大きかった。これまでひとごとになりがちだった会社全体の業績やグループの成果に対し、社員一人ひとりが「貢献しなければならない」という意識をかなり強く持つようになっている。連結事業利益1000億円を1年前倒しで達成できるほど稼ぐ力がついた原動力の1つに、決算賞与があることは間違いない。
――30年度に、社員の平均年収を1000万円に引き上げる方針を掲げています。
昨年の年頭所感で、当社の林野宏会長が「平均年収を1000万円にしたい」と話した。そこから1000万円を本気で目指すことを考え、報酬などの制度設計について人事部と議論を進めている。
私も、今年の決算賞与を発表した先日の全社集会で、「平均年収1000万円を目指す」と伝えた。ベースアップが長年停滞していたこともあり、年収拡大に向けた社員の士気を感じている。
AIで生産性を引き上げる
――人件費を引き上げるには、収益力の強化が欠かせません。
もちろんだ。25年度の当社の平均年収は666万円だった。これを30年度に1000万円にする場合、どれほどの人件費がかかるのかを計算し、そこから逆算して、この費用を賄うために必要な体力をつけていく。
まず重要なのは生産性の向上だ。当社は4年連続で「DX銘柄」に選ばれており、昨年9月にはAIを前提に全社員の業務を再設計する「CSAX戦略」もスタートさせた。すでにAIの利用浸透率は90%程度に達し、ビジネスの戦略意思決定会議に使われる資料も95〜98%程度はAIで作成されたものだ。精度が高く、意思決定を行ううえで支障はない。
コールセンターも28年のAI化に向けて取り組みを進めている。古い音声基盤のままではオペレーションがうまく回らないので、今秋に音声基盤を更改し、AI前提のインフラに変えていく。ほかの業務のインフラもAIネイティブな形に大胆に変革する。
――AI活用が進むと、今ほどの人員は必要なくなるのでは。
AI活用と人員削減はイコールではない。やるべき仕事をAIと人とで明確に分けており、効率的に生み出された時間は「顧客に向けてほしい」と伝えている。
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