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防衛費増額でも防衛省・自衛隊にはムダ金になってしまう理由、装甲車など装備調達でなぜ失敗と隠蔽を繰り返すのか

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自衛隊に配備されている軽装甲機動車(写真:陸上自衛隊ホームページより)
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その理由は路外性能が高いことは勿論だが、信頼性と整備性が高く、構造的に改造が容易であること、さらに世界中にサービス網がありスペアパーツが容易かつ安価に入手できるからだ。これは世界に展開するイギリス軍にとっては大きな魅力だ。

サウジアラビアの国営企業がランドクルーザーベースに開発・製造した「シビル」(写真:筆者撮影)

信頼性と費用対効果を見た場合にバブコック社のランドクルーザーベース車両の提案はかなり有力な候補と思われる。また、ラインメタル・ランドシステムズの提案も有力候補だ。

これはメルセデスのGクラス W464をベースにした軍用型「カラカル」をベースにしている。すでにドイツ軍やオランダ軍で大量に採用されている実績があり、相互運用性の面や、メーカーがドイツで地理的にも近いというアドバンテージがある。

ハコさえ調達できればいいという短絡的な思考

イギリスのチャレンジャー戦車の近代化はラインメタル社が協力しており、同様に装甲車両や自走砲もドイツ製が多数採用されていることもあり、政治的な意味からラインメタル案が採用される可能性は小さくない。両車とも共通しているのは民生用車両をベースにしており、その装甲型も存在することだ。

陸自の場合、例えば次期軽装甲機動車と併せて4分の1トントラックと高機動車をすべてランドクルーザーベースの車両にし、海自や空自も相乗りするならば、調達数は数倍、恐らくは2万両以上に膨らむだろう。高機動車の後継ならば6輪型を開発してもよい。実際海外では軍用の6輪型が開発されている。そうすれば、量産化によって調達コストを大幅に低減できる。

また運転や整備も共通化できるので、これらの教育を共用化でき教育関連のコストと人員を大幅に減らせる。部品もほぼ共通なので兵站コストは劇的に下がる。ランドクルーザーやハイラックスであれば、有事の際には民間にあるコンポーネントを活用できる点も大きい。また軍用モデルをトヨタが世界に輸出することも可能だ。自衛隊全体の装備体系と、共用性、兵站や省力化を考えて最適解を求めるべきだ。

そしてもう1つの問題が、開発において陸幕や装備庁は装甲車のそのものしか考えていないことだ。現代の戦闘では、装甲車のデータ通信やナビゲーションシステム、戦場マネジメント・システムなどを統合したものを搭載している。だが陸自では最新型の高価な8輪装甲車、AMVにすら音声とメール送信程度しかできない広域多目的無線機しか搭載していない。

これは基本的に音声通信専用で、メールも解像度の低い写真のやり取りしかできない。例えるなら新型のパソコンを買うのにモデムを搭載せず、どのようなソフトを入れるかも決めていないようなものだ。現在の装甲車は電子化ネットワーク化が前提だが、「次期軽装甲機動車」はAMV同様にそれを無視して開発されるだろう。そもそも装甲車はシステム込みで調達を考えるべきなのに、だ。

防衛省は、車両を含めて装備調達のシステムを根本的に再構築すべきだ。また装備庁と幕僚監部の開発や調達の当事者能力がなぜ低いか、ゼロベースで反省すべきだ。

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