「私まで下手なことをして親を悲しませたくないと思っていました。子どもが欲しくないので結婚に興味がなかったのもあります」
恋愛には一途なほうで、最も長く付き合っていた男性とは15年近く一緒にいた。10歳年上で離婚経験者の雅之さん(仮名)だ。
「26歳から40歳ぐらいまでのお付き合いだったので、それが初婚みたいな感覚です。途中で結婚の話も出ましたが、私よりも彼のほうが結婚向きではないと思っていました」
同僚と親友が他界、40歳で訪れた人生の転機
共通の趣味はサーフィン。特に雅之さんは自宅とは別にサーフィン用の海辺の家を持っているほどのめり込んでいた。週末になると仲間たちが集まり、宿泊費の節約のために泊まっていく。明日も「いい波」にできるだけたくさん乗るために。茜さんは「相撲部屋の女将のような立場」で楽しくも大変な日々だったと振り返る。
「仲間うちでも人間関係がいろいろあるので疲れてしまいました。でも、彼と別れたきっかけは別にあります。あの頃に海外で大きなテロ事件があり、会社の同僚が巻き込まれて何人も亡くなってしまったんです。強烈な殺され方をしたので、海の仲間に興味本位でいろいろ聞かれて耐え切れなくなりました」
同じ時期に、茜さんは小学校時代からの親友を乳がんで亡くしている。その人はすでに結婚しており、幼い子どもを残しての他界だった。
「身近な人たちが急にいなくなってしまい、人生を見直すきっかけになりました。一人の時間が欲しいと彼に伝えて、一人暮らしの自宅に戻ったんです。彼に理解はしてもらえませんでしたけど……。長い間ずっと彼と一緒だったので、生活のペースがつかめず苦しい時期もありました」
そのうちに茜さんは生来の活力を取り戻し、横浜の飲み屋街で「女子飲みチーム」を結成。一人での生活を大いに楽しむようになる。サーフィンも再開し、長期休みには昔の仲間がいないハワイに遠征。現地の海で知り合ったのがマイケルさんだった。
「気に入った場所があると毎日通うので、ローカルのサーファーとも顔見知りになります。海では誰とでも軽く話すのが普通です。夫からも最初から食事に誘われたわけではありません。『横浜に来ることがあったら案内しますよ』とメール交換をした程度でした」
