「家の中を見ると、子どもたちの昔のモノがたくさん残っていることからわかるように、自分よりも子どもたちを優先してきた母親だと思うんです。子どもから『ママ、遊んで』と言われても、『先に掃除やらせて』とか『洗濯やらせて』と普通は我慢させちゃうんですよ。
だから、このゴミ屋敷は家の片付けよりも子どもたちの気持ちを優先させていた結果なのかなと思うんです。何かを捨てなきゃいけなかった中で、片付けを捨てたんだと思うんです」
夫や誰か頼れる人がいれば、3人の子どもを任せて片付けができたかもしれない。しかし、1人ではそれができなかった。子どもたちが壁に貼ったシールも、ずっと剥がされずに残ったままだった。
子どもが巣立ち、気づけば家にはゴミだけが残っていた
作業が終わり、床と壁が見えるようになった部屋を前に、女性が言葉を選びながら話す。
「キレイな壁や床を見られることが、本当に30年ぶりぐらいです。自分で片付けをしていると、やっぱり分別の途中で諦めてしまうことが多かったんですけど、いらないモノはこうして全部一斉に処分したらいいんですね」
作業中に二見氏が「片付けの鉄則はゴミ袋をいっぱいにしないこと」と話していたのも耳に入っていた。ゴミ袋が重くなると、外へ運ぶときに気持ちまで重くなってしまう。ゴミ袋に詰めるゴミは半分以下でもいいから、小分けに、こまめに出していく。それだけのことが、長年できなかった。
娘も作業の立ち会いに来ていた。朝の段階では不安そうな母親に「お母さんは心配しなくても大丈夫やから」と声をかけ続けていたという。
子どもを育て、子どもが巣立ち、気づけば家にはゴミだけが残っていた。しかし、そのゴミはたった1日ですべて消えてなくなった。
