「これは本当に良くない考え方かもしれないですけど、もしめちゃくちゃダメやったら、ダメやったで面白い話になるんですよ、僕の場合は。監督からしたら大変なことですけど(笑)。でも僕としては、どっちに転んでも面白いかな、という感じでしたね」
ただ、その受け止め方は、撮影前に少し変わる。
是枝監督の過去作を見返した大悟は、すぐに自分が立つ場所の大きさを感じ取った。
「『ああ、これはなかなか大変なところに来たな』と思いました。出演されている役者さんがみんなすごいじゃないですか。是枝監督の映画に出ている役者さんって、全員そうですけど、特に“本物”という感じがある」
最初の構えは、そこで少し変わった。
「『どっちに転んでも面白いか』なんて言っている場合じゃない。ちゃんとやらないと、とは思いました」
それでも大悟は、俳優になろうとして現場に入ったわけではなかった。
細かな演技指導を受けることはほとんどなかった
演じたのは、工務店の二代目社長・甲本健介。休日は会社のメンバーと草野球に励む、無骨だが情に厚い男だ。撮影現場で大悟がまず考えたのは、爪痕を残すことではなかった。
「最初はやっぱり、僕はよそ者というか、違う畑の芸人が映画の現場に行って、しかも主演で、という感覚があったんです。とにかく迷惑をかけないようにしようと思っていました。逆に言うと、『ここでかましたろう』みたいな気持ちはまったくなかったんです」
バラエティなら、前に出ることが正解になる場面もある。
しかし、是枝組の現場で大悟が選んだのは、その逆だった。
「もし最初から、ヒューマノイドが出てきた場面で大きくリアクションを取ったりしていたら、たぶん終わっていたと思うんですよ。とにかく『違いますよ』と言われないように。おとなしめに、おとなしめにやっていました」
